そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

悪役令嬢後宮物語

クールジャパンってあるじゃないですか。アニメ、漫画、ゲームを含む大衆文化も国が支援するぜって話。正直言ってさ、金かけてランキングやったりとか。総理がマリオの格好したとかさ。だれだれがクールジャパン担当大臣になったとか。対策室がどうとかさ。新しい天下り先つくっただけじゃねぇかと思ってんだけどさ。

 

スマホゲーをつくる会社がさ。テレビのスポンサーになったり、パチンコの台になったり、さらには海外の人気によってさ、アニメの収益が無視できないレベルになったおかげでさ。オタクをみくびっている人はいるかもしんないけど、サブカルを面と向かって非難することはなくなってさ。公の存在になっちゃいましたよね。

 

それはいいことなんだけども、不安なことでもありますよ。これから、僕らよりもおおきな声を出せるひとが、サブカルのどれかをこれがこの国が誇るべき文化だとプッシュする。それはいいことのようにも思うんだけどさ。わかりやすくぜんぶノーと言われてた時代と比べるとさ。つまりはそれ以外は違うって区別化されちゃうかもしんないんだよ。

 

それはもしかしたら差別よりもたいへんなことかもしんないよ。

 

それはテレビかもしれない、ネットかもしれない、まだだれも知らないユーチューバーかもしれない。ある日いつかオタクのファッションリーダーが現れて。このアニメがおもしろい。この漫画がおもしろいと言ってさ。それでなにを見たらいいのか。読んだらいいのかわからない僕らは安心すると同時にさ。それ以外の本来それもオタク文化と呼ばれてたものが片隅に追いやられてしまう。

 

そんな日が来たとしても、俺だけは本当に好きなものを紹介したいですね。

 

さて、第8回ネット小説レビュー。今日はこの作品、悪役令嬢後宮物語。

 

あらすじ

『エルグランド王国の悪を牛耳る、裏社会の帝王』と悪名高いクレスター伯爵家令嬢、ディアナ。その美貌で老若男女を虜にして弄び、逆らう者は容赦なく叩き潰す……美しく冷酷な彼女を、人は『氷炎の薔薇姫』と呼ぶ――「えぇと、それ、誰の話?」 嫌々ながら側室となってみれば正妃候補にされ、当の国王にはいきなり嫌われ、側室同士の勢力争いのトップに祭り上げられ、ついには刺客に命を狙われる……!? 人の心を弄びそうに見える美貌――“悪役顔”のせいで、やることなすこと誤解されながらも奮闘する令嬢ディアナの、勘違い系コメディ!

 

 おもしろいですよ。

 キャラのたてかたがうまいんですよね。悪女のようにみえる顔なんだけど、じつは優しいディアナ。同じく悪人顔の父親と兄。彼らのことをしっかり理解している優しい母。このキャラをですね。最初の数ページの母と父の夫婦ゲンカとそれを止めようとする兄弟のほんのちょっとの会話でしっかり読者にわからせ、彼らを好きになったうえではじまる。ちょっとクスっと笑っちゃう誤解劇。

 

やることなすことが悪だくみにみられてしまうというコメディだけでなく。それを逆手に取ったうえで行う勧善懲悪。じょじょにできていく仲間たち。異色でありながら王道って感じで読んでておもしろいんですよね。

 

最初は、少女漫画のメタみたいな話かなって思ったんですけど、結構当たり前のテーマをうまくファンタジーに落とし込んでいるんだと思います。

 

つまりこの話って、小さな問題を数多く抱えている集団をまとめるためにあえて嫌われ役を買わざる負えない立場の主人公が、部下の話を真に受けて社長に冷遇されたりしながらも、めげずに頑張っていくうちにそこで働く仲間から尊敬され、最終的には集団の中にある問題を解決するっていう現実でもよくある話なんですよ。

 

だから、ふだんと違う世界に浸りながらもキャラに感情移入ができて泣けちゃうんです。

 

続き出て欲しいな! ほんとマジで!

 

WEB版

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