昨日、劇場版艦これを観ました。
ネタバレあるよ!
あらすじ
吹雪たちは任務のため、ある海域にいると突然謎の声を聴く。皆が不安がるなかなぜか落ちついた様子を見せる吹雪。声の中心からは赤い水が広がり、それが艦娘たちの艦装を傷つけた。そんな中、一人の艦娘が救助されるそれは死んだはずの如月であった。
想像してたよりよかったので俺は好きですよ。
まず艦これをやってて観たかった部分が見れたことがよかったです。
偵察中、艦娘の肩や頭に乗って双眼鏡で辺りを見渡し、敵を発見すると艦娘に耳打ちする妖精さん。肩のライトを照らしたり、刀で弾をはじいて、敵に近づき腰の魚雷を放つ艦娘。キャラの情報が立ち絵と声だけじゃわからなかった。こいつらどうやって戦ってんだっていうディティールが劇場版でようやくわかった。そこがいい。
テレビ版でやるべきだったんですけどね!
しかも、敵に攻撃されるとはだけるだけじゃなく。ちゃんとひたいから血が出て、フラフラになりながらも敵と戦わなければいけない。戦闘に緊張感が出てました。
テレビ版だとやたらと被弾してゲームのセリフを見ながらイヤーンって感じでですね。シリアスしたいのかギャグやりたいのかわかんない状態だったけどね!
これができるなら最初からやれよ。その通りですよ!
しかも、このスゲェと思った戦闘シーンは合計で30分も行かなくて残りは会話シーンです。しかもそこは座ったり。立ったまま動いちゃいけないシチュエーションでうまくキャラが動かなくても不自然ではないシーンを選んでるんですね。
テレビ版と比べると棒立ちがないように見えるのはその辺の手抜きが上手くなったからでしょう。
その辺も踏まえて、あえて俺は艦隊これくしょんを評価したい。描きたいテーマってのが個人的にはいいと思ったからだ。
こっからネタバレ全開で行くぞ。
今回、メインとなる話が如月の復活と深海戦艦の正体、声の正体と吹雪との関係です。
じつは生きていた如月。だが様子がおかしい。それもそのはず、彼女はじつは徐々に深海戦艦に変貌しようとしていたのです。ここで加賀の口から明らかになる事実。じつは深海戦艦が轟沈すると艦娘になり、艦娘が轟沈すると深海戦艦になる。如月を助けるには深海戦艦になった彼女を轟沈させなければいけない。
ゲームやってて、みんな気になってたテーマだからこれやってくれたのはうれしいですね。しかも如月が深海戦艦化に恐怖する場面はエグくて最高ですよ。
戦闘時、異質だと思っていたものがじつは同じだった。これはベタだけど。すべての争いの本質なんですね。この人は他と違う。そう考えるから争いが起きるわけだけど。結局はどちらもヒトであり、環境と育ちで違うようにしか見えないってわけです。
深海戦艦と艦娘は同じである。自分たちの戦いはなんなのか迷いながら、彼女たちは赤い水面の中心に向かう。仲間たちが足止めを食らう中、吹雪だけがその中心にたどりつくと、そこにいたのは深海戦艦に姿を変えたもう一人の吹雪だった。
じつは劇場版の舞台は吹雪が沈んだ海域らしくってですね。そこは不勉強だから俺もよく知らないんですが。話によると、吹雪という戦艦はここでなんの活躍もできずに沈んでしまう。その時のこんな終わりは嫌だという心残り、陸に帰りたいという想いが吹雪という艦娘を生み、負の部分のもう一人の艦娘を深海に残した。それが赤い水面の中心の声の正体だった。もう一人の吹雪は艦娘の吹雪を恨んでいる。過去を忘れ、幸せな少女として本来沈むはずだった運命の戦艦たちを次々と助ける彼女を恨んでいた。だから彼女は水面を赤く染め、彼女を呼び戻したわけです。
つまりこの話は、戦争という負の側面を見ずに艦娘なんて萌えキャラをつくりあげるDMMのやり口を批判する怨霊の話なんですよ。
俺らは青葉を写真を撮る女の子に変えたり、電をドジっ子にしちゃったりしてるわけだけど、戦争をそんなふうにチャかしやがって許せん、みたいなツッコミがあるわけだ。
実際、テレビ版の一番の失敗は戦争の重さを中途半端に引き受けようとしながら、チョイエロコメディをやろうとしたのがダメで。このツッコミはもっともな話なんだよ。
だからその反省を含めた上のアンサーとして、今回の話は全体的に暗い場面を映しながら、もう一人の吹雪との綺麗な彼岸花のなかで抱き合うラストを描いている。
この辺は戦争の負の側面を重さを受け入れた上で艦娘を描くっていう製作者の宣言に俺は思う。
だから俺は応援してるし、アニメでガッカリしたみんなにも劇場版を見てほしいと思う。