そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

ラブライブ観たよ!(ネタバレあり)

 ラブライブ劇場版を観ました。
 
【あらすじ】

   3年生の卒業と同時に活動をおしまいにすることを決めたミューズは、卒業式の直後に届いた知らせを受けて、ニューヨークでライブをすることに! 今、彼女たちの最後のラブライブが幕を開ける!


 面白かったよ! ホントに!
 
 テレビ版を観た人たちは必ず見るべき一作となっております。
 だって、どこを観たって女の子が可愛い!
 行く前にパパに行ってきますのキスをする真姫ちゃん。
 しょげる海未ちゃん。白米が恋しくなる花陽ちゃん。
 そして、1年組、3年組、2年組それぞれにあるミュージカルパート。
 
 これだけで1600円払った価値ありました!
 
  ニューヨークを舞台にしたラブライブメンバーの可愛さ満点の日常。
 この辺までは予告CMで期待した通り。
 こっからが凄いんです。
 
 ライブの後、日本に帰国する彼女たち。なんと、まだ1時間もあるんですよ。
 彼女たちを待っていたのはたくさんのファンたち。なんと海外ライブが成功して有名になったんですね。 秋葉原で自分たちのポスターが貼られてたり、PVが流れてたり。この辺、ラブライブ映画化が決定した時の現実世界の秋葉原に、彼女たちが迷い込んだ感じがして好きでした。
 
 そして、小鳥ママからラブライブのドーム公演実現のため、ミューズの活動を続けてほしいと言われ。彼女たちはまた悩むことになります。
 じつは映画で知りましたけど、作中ではスクールアイドルはまだマイナーで。それをメジャーにして、秋葉ドームでの開催をするためにミューズは今回ニューヨークに行くんですね。
 
 みんなが自分たちに続けてほしいと期待している。ここで彼女たちはまた悩むんです。
 ここが泣けるんです。10話の時とは違うんですよ。10話の時は先輩が卒業しても一年生を加入させて続けるかって話なんですけど。今回は、3年生が卒業した後もアイドルグループとして9人で続けるかって話なんです。
 
 でもそれはどうなのか! 結論はもう決まってるんです! わかりきってるんです!
 
 だけど、泣けちゃうの!
 
 だってさ! 俺たちだってさ、おもしろいアニメやマンガは続いてほしいじゃん。でも、続いてほしいけどさ、これ以上続いたらダメになってしまう。今、最終回を見てしまうのが、おわりを見るのが正しいってのがわかってるんだよ。だから悩むんだ!
 
 ミューズのまわりの期待や、小鳥ママの主張は俺たちやスクフェスで稼いでいるKLABの願いだよ。
 俺だって花陽ちゃんもっと見たいしKLABだってもっと課金で稼ぎたいだろうよ!
 
 続けるべきか、やめるべきか。悩むほのかの前に二度現れる、高山みなみさんが演じる謎の女性シンガー。あれも良かったですね。彼女の正体については色々説があるらしいですけど、僕は未来のほのかだと解釈しています。
 
 今、悩んでいる彼女に対して未来の自分を出すって禁じ手な気がしますけど。今回に限っては良かったと思います。映画の冒頭に出た子供時代のエピソードを絡めながら、未来の自分に導かれて大きな水溜りを飛び越えるほのか。どんな困難にぶつかっても、ミューズがなくなっても、ほのかはほのかなんだ、と思わせてくれたところがよかった。TVシリーズでも、彼女は自分が自分であることによって起きる障害に、悩んだりヘコんだりしましたけど。今回もそういう話で、それに対していつだって彼女の出す答えが揺るがない自分らしさなんです。ここで俺は泣くんです!
 
 とは言ってもですね。観たみんなが劇場版を褒めているわけじゃないことも知ってます。
 
 俺も個人的にラブライブを盛り上げるために200人くらいスクールアイドル集めたのに結局、彼女たちバックダンサーみたいだなとか。秋葉ってNYみたいって凛ちゃんが褒めてた時、ちょっと秋葉褒めすぎじゃないかなって思いました。
 
 ただね、これだけは言わせてください。
 
 映画けいおんと比べてクソとか言ってんじゃねェェェ!
 
 けいおんの感動とラブライブの感動は種類が違うんだよ!
 
 けいおんってのはね。ダラダラとしゃべる日常を丁寧に描く。そこが凄いよ。普通の日常をやりながら、それでも卒業の時が来てしまうのを見て、ああ、俺たちもこんな風に同性のダチとダラダラとバカみてえなことをやったげど、今思えばかけがえのない時間だったな、と失った日常を思い返して泣く、そういう感動が魅力の作品だよ。だからロンドンに行くまでの流れや入国審査とかが妙にリアルだし、女の子が生きてるって気がするんだよ。
 
  っで、ラブライブはさ。すべてが唐突だし、キャラが周囲の現象に流されてるって気がする時があるよ。海外から帰ったら有名人になったり、ラブライブのお偉いさんの依頼でニューヨークに行ったり。そもそもミューズの活動も廃校という突然の事態に対して生まれたものだしね。人によっては製作者の作意が見える人もいるかもしれない。
 
 だけどね、そこでやるほのかたちの決断は、ほのからしい決断なんだよ。
 そこに俺が泣くんだよ!
 
 この感動はね、失った日常なんかよりももっと残酷な、彼女たちのようには生きれない俺たちという現実からくる涙なんだ。
 
 彼女たちのようには生きれないってのはさ。可愛い女の子になれないとか。スクールアイドルになれないとか。有名になれないとかじゃないんだよ。彼女たちのように自分を曲げずに頑張れないって話なんだよ。
 
 そりゃ、俺たちだって頑張ってるよ。不景気の中、就活したヤツもいただろう。イジメを受けて耐えるしかなかったヤツもいただろう。受験のために友達を失ったヤツだっていただろう。部活で必死に何かを掴み取ろうとしたヤツもいただろう。脇目もふらず、誰も応援しない将来の夢に孤独で頑張ったヤツもいただろう。
 
 だが、この世に自分を曲げたことがないヤツはいるのか?
 
 人に好かれるために、好きでもないドラマや芸人をみたりさ。就活のために必死で自己分析したりさ。受験のために必死で勉強したりさ。なにか自分の軸とは違うことをやったり、言ったりして、それがいつのまにか自分のキャラクターの一部となってしまったことはないか。
 
 僕はありますよ。
 
 そういう風に周囲の変化に合わせて変わってしまったことを人は成長と言うんです。
 
 じつはこの類の成長はドラえもんやクレヨンしんちゃんなどの、アニメ映画ではやってはいけないことなんですよ。
 映画が終わった後もテレビ版の放映は続きますからね。だから、変わらない日常への回帰が映画の目的になるんです。
 
 物語は必ずプラスを重ねていかなきゃいけない。1が0になって、1になる物語なんて面白くもない、て荒木さんは漫画論で言ってました。
 
 ラブライブはね。あえて言うなら100が100であり続けて、100のまま終わる話なんですよ。
 
 だから、スクールアイドルのまま音の木坂の伝説となるし、ラブライブを盛り上げるためにほのからしい無茶をする。
 
 それがちょっとご都合主義だろうと、細けぇこたぁいいんだよ!
 
 ってなわけで! ただいまラブライブ劇場版は絶賛公開中だ。なんと2日で興行収入が二億いったらしいぞ。まだ観てない人は劇場で今すぐウォッチだ!