そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

ネタバレ注意! 愛原そよぎの悩みごと 時を止める能力者にどうやったら勝てると思う?について

さて、今回紹介する作品はこちら。『愛原そよぎのなやみごと 時を止める能力者にどうやったら勝てると思う』。

あらすじ
「時を止める能力者にどうやったら勝てると思う?」僕が好意を寄せるクラスメイト、愛原そよぎの“やなみごと”は僕の想像を遙かに超える独特なものだった。本気とも冗談ともつかないその相談に真剣にアドバイスを送り、彼女のなやみはどうやら解決されたようだった。僕たちの関係も進展したかに思えたのだけど、この相談がきっかけで僕は彼女のとんでもない“秘密”に近づいてしまったようで!?僕と彼女の非日常系おやなみ相談日常ラブコメ開幕!

 バトルはなく、よくある能力者との戦いをゆるい会話で考察するメタ的な要素がはいった作品です。タイトルのとおり、そよぎが時を止める能力者にどうやって勝つかを主人公に相談するとこから話がはじまります。
 しかも彼女は魔法少女らしく、自分でも隠せている気でいる。主人公は気づかないふりをして、あくまで彼女の妄想話に付き合うていで話しが進行します。

 読んでて思うのがさ。すごい懐かしいんですよね。
 放課後のさ学校が終わった後でヒロインが持ってきた話題に主人公が乗っかる。そのうち、ほかのヒロインも登場してさ。ゆったりとした会話をする。
 最近ずっと読んでなかった放課後ヒロインものですね。生徒会の一存とか、GJ部とか、ラノベ部とか。そういや昔はこういうラノベを読んでたなって懐かしくなりました。
 
このよくある日常系のライトノベルにはいっているのが日常の中に特別な戦いが潜んでいる涼宮ハルヒなんですけどね。

 涼宮ハルヒとは、世の中特別なことなんて起きない、自分は普通の人間で、普通なことしか起きないのだと考えるキョンの前に、宇宙人、未来人、超能力者は私の前に来なさいという涼宮ハルヒという女の子が現れる。すると、本当に涼宮ハルヒの気づかないところで宇宙人、未来人、超能力者がいたって話です。日常的なドタバタをしながらその傍らには特別な事件が起きているってとこがさ。0年代から形成された世界観のひとつなんですね。

 ちょうどイラク戦争やアメリカのセンタービルが爆破されたときにさ。日本はあまりにも平和でさ。でも漠然とした不安感があったって時代にできたんですよ。この外側に何かが起きているって世界観がさ。内側も大変だけど、外側がもっと危険って進撃の巨人に変わっていくんですね。外側に事件があるけど主人公はヒロインとのほほんとするよってとこがさ。涼宮ハルヒの世界観が今来たのか懐かしいなって思って読んでたんですけどね。この作品はこれだけで終わらなかった。ラストの展開がさ。今の時代に合わせていくつかアップデートされているところがあるんですね。





 こっから先はネタバレになります。



 これから読む人はWEB版があるんで、ネタバレがいやな人は先にこっち読んでください


kakuyomu.jp


















じつは特別だからこそ主人公になれない主人公

(引用)
「「あんたただの一般人じゃなかったの……?」
「僕は一度だって自分が一般人だと言ったことはないよ」
 僕は初めから魔法少女の存在や背後にある合衆国の存在を知っていた。ただそれを表に出さなかっただけだ。
「僕はライトノベルの主人公じゃないからな。『ごく普通の男子高校生』にはなれないんだよ」」

 愛原そよぎがなぜ魔法少女と戦っていたのか。この世界の日常の裏で何が起きていたのか。
 これさ、ようは仮面ライダー龍騎だったんですよね。
 こことは違う世界でさ。戦争があるらしくってさ。その戦争で戦ってもらうために強い魔法少女がほしくってさ。それが僕らのいる世界にいるらしい。だけど魔法少女は一人しかなれません。だからその一人を選ぶために魔法少女を戦わせます。見事選ばれたその一人には異世界で戦ってもらう代わりに願いを叶えますって話でさ。愛原そよぎも願いを叶えたいから魔法少女になったわけです。
 主人公はさ、ヒロインとの日常を選びながらもその日常の裏にひそむ戦いにも、その戦いの仕組みにも気づいている存在なんですよ。
 これこそさ、『モブサイコ』や『スライム倒して300年』の時にも話したさ。いわゆる特別な人が日常を望むという最近にわかに出ている系譜をたどっているんですね。
 この設定さ、たんに読者を驚かせようってだけじゃないと思うんですよ。

 まずさ、バトルロワイヤルからはじまる。デスゲーム系ってのはさ。元をたどるとさ。これは受験戦争による勝ち組負け組のファンタジー化なんですよ。
 僕らってさ。ある日突然にさ、親だとか教師とか社会という謎の主催者に一箇所に集められてお前ら勉強してトップを狙え負けたらホームレスだ。戦わないやつも殺してやる。一位になれば安定した将来が待っているっていう戦いをやらされているんだよ。このはなしをするとグチグチ長くなるからさ、気になった人は過去の記事を読んでみてください。

 でさ、このデスゲームを潜り抜けた結果幸せになれたかといえばさ。そうでもないなってさ。ニュース見てたらわかんじゃん。
 この作品でもさ。主人公こんなこと言ってます。

(引用)
 マジカルバトルで選ばれ、異世界たるバルバニアを救うと言われている『勇者』。『勇者』などと耳障りのいい言葉を選んでいるが、あれはそんないいものじゃない。
「『勇者』なんて、戦争の道具にされるだけの存在だ」
『勇者』とは、バルバニアが対立する隣接異世界フレミニアンと戦うために求められた生物兵器に過ぎない。国にとっては魔法少女など使い捨ての異世界間弾道ミサイルとなんら変わりはしない。バルバニアが干渉した万に近い異世界からかつてつれてこられた『勇者』たちは、皆、戦火の中でその身を散らしたと聞いている。
「人道、人道なんて言っておいて、結局は人殺しのための道具にしようとしているんだ。これほどの偽善はなかなかないぜ」

 魔法少女とマジカルバトルって書いてあるからさ。ファンタジーに聞こえるんだけどさ。異世界を「外国」この勇者を「グローバルな人材」と考え、バルバニアを最近だったら東電とかに書き換えたらさ。ぐっと僕らに身近なはなしにちかづくんですよ。つまり、この主人公はさ。受験で戦って勝つだけじゃ幸せにはなれないよね。勉強することよりも大事なことがあるんじゃないかなっと考える思春期の僕らに近い存在なんですよ。
 王道のストーリーラインだからこそ、こういった時代の変化の流れのようなものを感じました。

 WEB版も読みながら、続きも楽しみに待っています。

ネタバレ注意! 仮面ライダー×スーパー戦隊 超スーパーヒーロー大戦を観ました!

 仮面ライダー×スーパー戦隊 超スーパーヒーロー大戦を観ました。

 

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 面白かったですよ。

 

 まず驚いたのが。綺麗な都市を上空から映した場面の右下に映る韓国の文字。あれ? 海外ロケかな? って思うじゃないですか。違うんですよ。どうみてもですよ。東京ドームシティなんですよ。仮面ライダーWとかで見たような街なんですよ。そこにですよ。屋台を建てて、建物に韓国の旗ひっかけてここ韓国だよって言ってんですよ。笑っちゃいますよ。

 

 そんなツッコミどころ満載の韓国の上空に現れる謎の巨大飛行物体。ゼビウス。韓国の人もなぜか知ってるんですよ。

 そのゼビウスに襲われていることを察知したキュウレンジャーがキュウレンオーで助けに行くんですけどね。勝てない! ってとこでタイトルロゴが上からドーン!

 

 んでさ、場面がエグゼイドの病院に急患が運ばれたって展開になるんですよね。その急患がジュウオウジャーのホワイトのアム。ジュウオウランドがゼビウスに破壊されてさ。命からがら逃げてきたんだと。

 

 でさ、エグゼイドの街にさ。キュウレンオーがやってくるんだよ。目的はポッピーキュポポポ。キュウレンジャーはさ。ゲームの世界にいるはずのゼビウスが実体化した影にはさ。同じくゲームのキャラでありながら現実世界と関わるポッピーキュポポポが関わってんじゃないかって考えるんだよ。

 もちろん、ポッピーキュポポポがそんなことするはずないって言ってさ。エグゼイドチーム対キュウレンジャーの戦いがはじまるわけだ。

 

 んでさ、戦いの途中で敵が出るんだよ。

んでさ、戦いの途中で敵が出るんだよ。それがギャラクシアン。彼らもむかしのゲームのキャラなんだってね。

 

苦戦するヒーローたち。そこに現れる戦隊とライダー。そこでポッピーキュポポポが語るのはさ。かれらはスーパーヒーロー大戦というゲームに出てくるヒーローらしいんですよ。

聞いてて俺、こっち思い出しました。

  

 

 

 

この辺でさ。どうやらゲームと現実世界がつながっているらしいって話になってさ。問題を解決するためにゲームの世界のヒーローたちの力を借りようって話になるんですよ。

 

でさ、ポッピーキュポポポとジュウオウジャーのホワイトがさ。説得のためスーパーヒーロー大戦の世界に行くわけだ。そこでさ、ゲームの世界のヒイロに会うわけなんだよ。

 

ゲームの世界のヒイロはさ。力を貸すがそれにはルールに従ってもらうって言うんだよ。そのルールがトーナメント形式のヒーローバトルに勝利すること。プレイヤーとなったエグゼイドはゲームの世界の四人のスーパーヒーローとチームを組んで戦うんだな。戦隊の形式をとる必要があるらしくてさ。エグゼイドが赤。モモタロスがピンク。ビートバスターが黄色。ニンニンジャーの青ニンジャが青。仮面ライダーゾルダが緑。

 

なんかさ、微妙なメンツだとおもうやん。こいつらちゃんとモノホンのキャストさんが来てんだよ。他にもさキンタロスとウロタロスがさ。青枠、黄色枠なら俺だろって言ってさ。お前らはすっこんでろーってギャグもあるよ。

 

んでさ、もちろん勝ち進むわけなんだよ。この辺いいよ。今回、5対5あるいは1対1のヒーローバトルをしてるからさ。視点がアッチコッチいかずに純粋なアクションが楽しめます。

 

でさ、俺が不満なのがさ。モモレンジャー対モモタロスの戦い。オラオラってるモモタロスにさ。きゃーこわーいって言って油断させて股間を蹴るモモレンジャー。あのさあ、お前そんなキャラじゃねぇだろ! イヤリングが爆弾になるんだからそれ使えよ! なにキャットファイトしてんだよ!

 

ちなみにゲンム対エグゼイドの戦いもあってさ。意外とあっさり終わったよ。

でさ、トーナメントで優勝した結果さ。五人はゲーム世界のスーパーヒーローの力を使えるようになってさ。その力によって変身した姿で現実世界に帰るの。

 

それがこれ

 

まさかのゴライダーがここで出んだよ。んでさ。ゴーカイジャーの船、仮面ライダーキバの城、ゴレンジャーの飛行機、電王の電車に乗ってさ。ゼビウス倒すんだよ。

しかもトドメがゴレンジャーハリケーンね。

 

見事、ゼビウスを倒したエグゼイド。ここで終わりかと思いきや。ここで現れるのがショッカー軍団。なんとスーパーヒーロー大戦にはボーナスステージがあり、エグゼイドがクリアしたことでボーナスステージに潜んでいたショッカー軍団を呼び起こしてしまうんです。

 

ショッカー軍団に消されるエグゼイド。他のライダーや戦隊がショッカー軍団に戦うも苦戦する。そんななか、ヒイロはさ。戦いから離れてさ。自分の家でさ。一台のパソコンを開くんだね。何かと言えばさ。今回の騒動の原因エイトくんのパソコンなんだよ。今回、映画にさ。エイトくんってのがチョコチョコ出ててさ。その子はヒイロの元患者でさ。ゲームの世界に消えてしまうのを止められなかった。助けられなかった患者なんだよ。

 

このエイトくんはさ。病気を2つ抱えてるらしくてさ。一つは結局明かされなかったんだけどさ。もう一つがさ。心の病気でさ。感情の起伏が薄いらしいんだよ。

 

この辺にさ。エグゼイドのそばにいたナーガが反応してさ。彼と話したいってさ。ポッピーキュポポポに頼んで、ゲームの世界に行く。

 

一方、ヒイロもさ。エイトくんのパソコンを使ってゲームの世界に行くんだよ。

そこに待っているのがもう一人のゲームの世界のヒイロ。仮面ライダーブレイブ対ブレイブの戦いがはじまるわけだ。

 

そしてさ消えたと思ったエグゼイドもさ。ゲームの世界にいてさ。そこでさアマゾンズと戦うの。3対1だよ。

 

この後スゴイよ。ライダーとスーパー戦隊とショッカー軍団の戦いがあるなかさ。エグゼイドとアマゾンズの戦い。ブレイブ対ブレイブの戦いがはじまるの。

 

今回の魅力がさ。混沌に見せかけた秩序ってヤツでさ。複雑に入り組んでるようでじつはわかりやすくてきれいに整ってるんだよ。

 

ヒイロはさ。救えなかった患者と向き合う。己の罪と向き合う。ナーガはエイトを通して自分と向き合う。エグゼイドはエイトにさ。キミの本当の気持ちはなんなのって言うわけだ。今までのさ。スーパーヒーロー大戦に比べるとさ一つの大きなテーマがさ。わかりやすいんだよね。

 

戦いも終わってさ。ヒーローたちも現実世界に帰ってさ。ショッカー軍団と戦うわけだ。今回さ、カメラのアングルがいいよね。岩と岩の狭い空間でさ。迫るようなカメラワーク。ヒーローの戦いがさ。いつもより近いんだよ。メッチャ迫力ある。

 

でさ。巨大化するショッカーの首領三世とキュウレンジャー、巨大化エグゼイドとのバトルで終了。

 

アクションもドラマもさ。けっこーおもしろかったよー。

 

 

 

ネタバレ注意! キングコング観ました

 さっき、キングコングを観ました。

  

あらすじ

 アメリカの衛生カメラが謎の島を発見する。その名は髑髏島。ソ連よりも先に島の地質、生態系を調査するために捜査隊が中にはいると。そこには巨大なゴリラ。キングコングがいた。

 

 最初から中二全開よかったですよ。理屈よりも映画としてのカッコよさを優先した演出に痺れました。

 まずさ、二つの戦闘機が髑髏島に墜落すんですよね。その二人がさ。片方がアメリカ人でもう片方が日本人。そう、時は第二次大戦の最中。敵対している二人は戦闘機が墜落してもなお戦うんですよ。日本人スゴイっすよ。銃撃戦の後さ。刀使って、アメリカ人に襲いかかるから。島のジャングルの中で七転八倒の闘い! んでさ、アメリカ人と取っ組み合ってさ。かたや刀を振り下ろそうとし、かたや銃を構えたその時!  ズドーンと現れる巨大な手! あれ、暗くなったなと不審になって振り返る二人が見たのがあのキングコングだよ。

 

 こんなカッコいいいりされたらさ。観るしかないじゃん!

 

 んで、何十年かたってさ。時はベトナム戦争の終わりだよ。二人の男がさ。大臣に掛け合うんだよね。島を見つけた。調査の許可欲しい。大臣、ウンザリ顔でさ。今回だけだぞと。そしたらさ。二人の男のうちの一人、チョビヒゲの男がさ。じつは警備に軍人がほしいって言うんだよね。ニヤリとさ。

 

 ここでさ、場面基地にかわるんだよ。大佐さんがさ。ベトナム戦争終わったから帰れみたいな電話を受けてんだよね。仲間の勲章をみて、戦争がこんな形で終わるなんてって思ってる。

 一方、部下たちはノリノリだよ。彼女にメールしたかい? したよ75回も。ママだろ?  ハッハー!  みたいなさ。会話の内容が完全にさ。サメ映画に襲われるまえの若者の浮かれ具合でさ。うわ、キングコングに殺されるわ〜ってさ。ニヤニヤしたよ。

 

 でさ、雨降ってさ。夜中まで騒いだんだろうね。大佐が電話受け取るんだよ。まだ任務が残ってるぞ。イエッサー。よしよろしく頼むぞ。待ってください、大臣。どうした?

 こんな会話があってさ。大臣言うんだよね。うれしそうな顔でさ。ありがとう。

 

 なんでアメリカ映画のソルジャー戦闘大好きなんだろうね。

 

 この後さ、ようやく主人公登場したよね。元SATのさ、男。バーでのケンカのシーンカッコいいよね。いくら欲しいとか話ししてさ。護衛兼ガイドとして雇われるんだよ。その後がヒロインのシーンでさ。写真現像してるから記者ってわかるよね。

 

 そんな感じでさ。ここまでがいろんなキャラ船に乗るぜって演出だったんだよね。

 ようやく船が出てさ。けど島に嵐があるからさ。島のヘリなら行けんだろうって行くわけだよ。

 

 ヘリで嵐の中をドーン。不安がる隊員。大佐だけが冷静。そういや目のアップが今回やたらと多いんですよね。ホントに。

 

 この時に引用されるのがイカロスの話。父親がイカロスにロウの翼をあげた。父はイカロスに太陽に近づくなと言ったのに。イカロスは近づきました。だからロウは溶けてしまった。だが、俺たちの父、アメリカは我らに鉄の翼を授けてくれたその翼がこんな暴風雨で折れるかよ! って言ったとたんに広がる大自然。嵐を抜けたんですね。

 

 そしたらまた隊員たちヒャッハータイムですよ。ノリノリの音楽がかかってさ。着陸すんの森のフレンズたち大騒ぎ。鹿とかキジとかみんなヘリの音にビビって逃げんの。

 そんなのおかまいなしでさ。隊員たちは爆弾落とすわけよ。地質調査のためらしいよ。ますます逃げる動物たち。

 わーいたのしー!っと旋回するヘリ。大きな山を曲がったその先にいるんだよねキングコング。うん、予想してた。イカロスの話しした後で陽気な曲流れんだもん。そうだろうと思ったよ。キングコング大暴れ。オモチャのように壊れるヘリ。みんな墜落したよ。

 

 調査隊も3つに分かれて散り散りになるんだよね。一人山奥で生き残った男。大佐ひきいる部隊。元SATと記者と地質学者と他の隊員。

 大佐はキングコング倒してやるって意気込んでさ。武器を積んだヘリにいる山奥の男を助けに行こうとする。元SATチームは補給部隊が3日後に南にくるから合流しようとすんだね。

 

 こっからが面白い。キングコングだけが化け物じゃなくてさ。いろんな化け物が島にいるんだよね。

 

 大佐チームの話なんだけどさ。竹林を歩いてんだよ。するとね、一人の隊員がさ。悲鳴をあげるの。振り返るとさ。竹がさ。隊員に刺さってんだよね。さっきさヘリ襲われた時にさ。キングコングはヤシの木投げてたからさ。またそれかなって思ったんだよ。

 

 違うんだよね。刺さってったはずの竹がさ。ひとりでに抜けるの。すぅーと視点が上に向くじゃん。そしたらさ、いるんだよクモみたいなんが。もうパニックだよ。竹かと思ったらクモの足なんだもん。しかも刺さんだよ。予想できねぇよそんな死に方。

 

 こんな感じでさ。どんどんモンスターが出るわけよ。この辺のシーンさ、のび太の南海大冒険を思い出したよ。

 

 でさ、命からがらさ。元SATチームはある村にたどり着くんだよ。人住んでんだよねこの島。そこにいたアメリカ人がさ。なんと冒頭のアメリカ人だよ。ちょっと感動だよね。ケンカしてた日本人とも仲直りしてさ。島に出るために協力してたんだって。

 

 でもさ、ここで気に入らないのがさ。アメリカ人は生きてるくせに日本人は死んでんの。しかも刀はアメリカ人がもってんだよ。ふざけんなよアジア人でいいから日本人出せよ。俺はなプレデターズのヤクザとか、スターウォーズの座頭市みたいなな! アメリカ映画の日本人の戦闘シーンが大好きなんだよ。

 

 まあここをネチネチ言ってもしょうがない。このアメリカ人も仲間になってさ。船に乗って南を目指すんだよ。この船がさいいんだよ。日本のゼロ戦とさ。アメリカの戦闘機を組み合わせてつくってんの。カッコよくない!?

 

 んでさ、船に乗ってさ。元SATチームは大佐チームと合流すんだよ。

 ちなみにさ、元SATチームは、島の地下にキングコングよりヤバい化け物がいるらしいって知ってさ。しかもその化け物は調査隊が爆弾を落としたため目覚めたらしい。キングコングはそれに怒りヘリを襲いました。じつはキングコングは島を守っているのですって話になるんですよ。記者とキングコングが触れ合うシーンもありますよ。

 

 でさ、元SATと大佐が合流したはいいんだけどさ。キングコングを倒したい大佐は山奥に残された男を助ける名目でそのそばにある武器を取りに行きたい。だから一行は助けに行くんだけどさ。そしたら案の定、地下の化け物に襲われるんだよ。もちろん山奥の男も死んでる。

 

 武器を手に入れた大佐はキングコングを迎えに打つ。元SATは勝手にしろよと船に向かうも、やっぱりキングコングが助けたくてアメリカ人と記者とで引き返して大佐を止める。

 

 こっから先がさ。キングコング対地下の化け物の闘いだよ。カッコいいよねこのへん。

 

 んでさ、終わってめでたしめでたしなんだけどさ。スタッフロールがはじまったからって。席を立っちゃいけないよ。

 元SATと記者がさ。謎の部屋に連れてこられる。するとさ、ようこそ、まるまるへって言われるんだよね。どうやらさ、巨大生物と戦うための組織の基地らしいんだよね。

 

 んでさ、地質学者が言うのがさ。キングコングだけが王じゃない。他にも島が発見されてるって言ってさ。プロジェクターで流される五枚の壁画。それはまさしくゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラ。そして彼らが戦う怪獣大決戦が描かれた壁画で終わるわけだよ。

 

 もうさ、大興奮だよ。続き早く見たいよね。

 

 

 

食べるだけでレベルアップ! 駄女神といっしょに異世界無双

さて、今回紹介する作品はこちら、『食べるだけでレベルアップ! 駄女神といっしょに異世界無双』です。

あらすじ
「ホントに異世界だな、これ」「アタシを養いなさい!」女神ローラの唯一の信者として、異世界へと召喚された少年ケーマ。彼に与えられたのは、食べたものの経験値・スキルをそのまま獲得できちゃうチートスキルだった!狩った魔物や異世界ならではのグルメを堪能するケーマの美味しい日々は、「ふえぇぇ~!」巨乳だけが取り柄の駄女神をイジったり、「ご恩は、一生忘れませんっ!!」助けたウサ耳娘に懐かれたり、なぜか美味しい思いも特盛りで!?そして気づけば彼は、凶悪な魔物すら鼻歌交じりで蹴散らせるレベルになっていて―。美味しく食べて国士無双な、異世界食べ歩きファンタジー!

ギャグあり、駄女神あり、3人のヒロインで異世界生活をダラダラやる。このすば系の異世界転生ものですね。

スキル無双がいいですね。前紹介した『転生したら剣でした』みたいにさ。森の奥深くに召喚された主人公は食べた魔物の力を吸収する能力で弱いモンスターからじょじょに強いモンスターを狩っていくようすは読んでてワクワクしますね。

んで、この作品の魅力はスキルチートでもあるんですけどね。それを上回る魅力が主人公にベタ惚れ状態のハーレム。もともと作者さんは物理さんで無双してたらモテモテになりましたってタイトルの作品を小説家になろうで書いてたんですけどね。この人、あまりにも作風がエロすぎてアカウントを消されてるんですよ。
今作も作者さんのいい感じのエロがあります。主人公にベタ惚れって感じがいいですね。

web版も書籍版も続きを追っていきます。

イックーさんについて

さて、今回紹介する作品はこちら、『イックーさん』。

 

 

 

あらすじ

今は昔、夢漏町幕府の頃、さる山寺にイックーさんという、たいそうイキやすい小坊主がおったそうな。ある夏の夕暮れ時、声をかけられ「ンッ!?」軽くイッてしまったイックーさんは、小坊主たちから和尚さまが隠している蜜の入った壺の話を聞く。蜜ツボ…。勘違いをしたイックーさんは、壺捜しに加わることになるが…。「カクヨム」で異彩を放つ超絶倫下ネタコメディ!で、でちゃう?

 

 

 

 WEB版の時から好きでした。これが書籍化されると聞いた時はマジかと思いましたよ。この作品はスゴイ。落語じたてに綺麗に整理されたストーリー。ところどころで光る言葉のセンス。まさかの伏線に、時代考証を踏まえた上のパロディ。それでいて、どのジャンルにもおけないからこそライトノベルとなりうる独自性。それらからみえる多くの才能がまさかの小学生レベルの下ネタのために使われるこの贅沢感!

 

 

 

 カクヨムが開いたパンドラの箱ともいうべき作品です。グッジョブ角川!  よく開けてくれた!

 

 

本気の下ネタ

 

 この作品は上から下まで完全下ネタの昔話風のコメディです。下ネタと聞いてさ。僕らはバカにしたり。えっ、下ネタなの?ってつい手に取るのをやめてしまう。

 確かに下ネタは幼稚園の時に突発的に喋り出し。小学生高学年の時には話さなくなり。色気づく高校生の時に一部で復活して。大学生、社会人になる頃にはお酒の席でしか活躍しないスキルです。だからこそ、大体の場合がうんち、チンチン等のすでに下品とされる言葉を多用するか。セクハラと呼ばれる品のない言動のレベルにとどまる。

 

 

 だからこそ、僕らは下ネタを侮る。料理にいれたらその味にしかならないしょせんはナポリタンとかオムライスのような子供向けの料理にしか使わない調味料だろうとね。

 

 

 そんなことはない。下ネタだって立派な調味料。使い方しだいで、幼い頃には思いもしなかった味が現れる。

 

 大人になってからの本気の下ネタはそのひとの技巧、知識を試されるかなり難しいものなんですよ。イックーさんにも作者の鬼才が濃厚に出ています。

 

 たとえば、この作品はイックーさんというタイトルにするだけあってさ。イクにかけたギャグがたくさん出んだよね。これでもかってくらい。これだけでも作者の言語センスの高さが伺えますよ。

 

  とにかくどんどん下ネタを出す。読んでてよくここまでモツなって感心しますよ。

 

落語のような軽快な語り口

 

 畳み掛けるような下ネタの嵐。そこが魅力なんですけどね。そこだけだったら、まだまだケチャップライス。深みのある料理なんて言えませんよ。この作品の魅力はそれだけじゃない。

 

 最大の魅力は作品全体を支える読者に語りかける落語のような文体です。

 

(引用)

「おい、イックー!」

「ンッ!?」

 イックーさんは驚いて軽くイッてしまったが、小坊主たちは彼の絶頂を知らずに言葉を続ける世の中というものはまっこと、イキやすく生きにくいものよ。

 

  驚いてイッたというコメディな展開を広げながら、イキやすく生きにくいという上手いギャグを地の文にいれた良い文です。なぜ語りかける文体にしたのか。それは読者に語りかけることで僕らに笑うタイミングを教えているんですね。今上げた文もなかなかの名文なんですが、第3話の屏風でイク咄の地の文もスゴイですよ。

 

(引用)

二次でイッたとき、人は罪悪感を覚えるもの……そうであろう?

 その罪悪感が、イキながらにして完全にはイケておらぬ、賢者の刻を迎えながらも欲望をたもつ哀しみの戦士に、イックーさんを生まれ変わらせたのじゃ……

せつないのう。

 

 シリアスな笑いをいれながら、ようしょようしょに問いかけをいれることで笑うタイミングを教えてるんですよ。これもツッコミの一種なんですね。ツッコミというと相手の間違いを指摘するとこに注目しがちなんですけど、本来は笑うタイミングをいれる間なんです。

 

ライトノベルとしてのイックーさん

 さて、ここまで下ネタを中心にした作品なんだけど、下ネタもバカにできねぇぞって話をしました。でも、まだまだ手に取るのもためらう人もいるでしょう。

 

 そこで今回はライトノベルとしてのイックーさんについても話します。この下ネタバーストなイックーさん。人によってはこれはライトノベルなのかと、改めて考えてみると首をひねるかもしれません。文章は読みづらいようで読みやすい。落語のように語りながらもそこまで難しい言葉を使わない。難しそうで難しくない太宰治さんや京極夏彦のような丁寧な配慮があります。そして絵もコミカルで可愛いですよね。帯のイックーさんのポコポコチーンは必見です。

 

 では、読みやすく絵があればライトノベルなのか? そんなことないですね。嘘つきみーくんと壊れたまーちゃんや空の境界はこれよりも読みづらかったですよね。

 

 

  こういったライトノベルとはなにか問題を語る時に僕がいつも思い出すのが、『僕は友達が少ない』の作者、平坂読さんが書いた作品、『ラノベ部』です。

 

 ラノベ部とは、とある高校で軽文学部、通称ラノベ部のゆるい日常を舞台にした作品です。3巻で終わっちゃってる作品ですけどね、僕、平坂読さんの作品はこれが一番好きなんですよ。この作品で新入生の女の子がライトノベル部に入る前、先輩にライトノベルってなんですかって聞くんですよ。するとさ、先輩は次のようなセリフを言うんですね。

 

(引用)

「読んだことのないものを偏見から判断することなく 、ジャンルや定義や権威に囚われることなく 、 『漫画みたい 』 『アニメみたい 』という形容をネガティブなものとして捉えることなく 、こういう小説のことをただこういう小説であると受け入れることができる新しい感性を持った少年少女のために 、 『こういう小説 』は書かれている 」

 

 この作品はたびたびライトノベルとはなにかってことについて言及してですね。僕、このセリフ好きなんですよ。

 

 イックーさんって、もしライトノベルではないとしたらなんなのかというとさ。じつはあまりあてはまるジャンルがないんですね。時代劇であって時代劇でない。ましてやミステリーやSFでもない。もちろん純文学でもない。されど世に出るべき新しい文学。本を開いたキミに驚きと困惑を与えたかもしれないけどさ。この本の底には新しいことに挑戦しようという希望があります。

 

 現時点ではこういう本としか言いようがないんですよ。だからライトノベルになり得る。どこにも属さないアウトサイダーに一時的なジャンルを与えるそれもライトノベルの役割なんです。

 

 だから毛嫌いしてないで読んでほしい。今から貼るアマゾンリンクでわざわざ買わんでもいいし。書店で注文するのも酷だろう。だが、本棚に置いてあるのをもし見かけたのなら手にとって数ページくらい読んでみてくれ。今ならweb版もあるからさ。

 

 

 

カクヨム書籍化作品オススメランキングベスト5!

  この前、近所の本屋で最近大きくなったネット小説の棚を物色していると。一人の女性が隣に来ました。

 

 その女性、髪はしろずみ、肌は雪のように白い。目元には、年輪が重ねられ、本棚に伸ばしたそのきれいな手には太い血管が浮いていた。

 彼女は立ちすくんで悩むように手を迷わせると、ためらいがちにいくつかの本を手にとってレジへと向かうのでした。

 

 私的に詩的で素敵なふうに言ってみたんですが。ようは70歳くらいの人がネット小説を手にとってたんですよ。さいしょは頼まれたのかとも思ったんですけどね。新刊だけでなく、隅の一冊しかない本も持って、合計5冊は買ってたので。たぶん自分で読むものでしょう。

 

 ついさ、ネット小説って考えると、35から14くらいまでだと考えてましたけど。以外と年齢層は幅広いかもしれない。ネット小説が書籍化するとさ。ほとんどがハードカバーでさ。高いわけなんだけどさ。案外、スマホが見づらくなったかたには大きい本がいいかもしれないし。決まった形式のあるネット小説は、新しい文芸として人々に受け入れられてきているのかもしれませんね。

 

 そうあってくれたらいいな。あってほしいな。

 

 ネットには今日もたくさんのネット小説が投稿されている!  だれがネット小説を語るのか! だれがネット小説を読むのか!同じくネットでゾンビ小説を書く男、神島竜が今立ち上がる!

 

 習慣で、週間に、瞬間に更新するブログ。

 

神島竜のそう、それが言いたかったァァァ!

 

  さて、今日はカクヨム一周年に便乗して、カクヨム書籍化作品を紹介するぞ。

 

 その名はカクヨム書籍化作品ランキング!

 僕が個人的にオススメするカクヨム書籍化作品を5位から1位までピックアップ!

 

5位ガチャに委ねる異世界廃人生活

ガチャにゆだねる異世界廃人生活 (ファンタジア文庫)

ガチャにゆだねる異世界廃人生活 (ファンタジア文庫)

 

 

 かわいい女の子が出て、異世界で、異能を持っていて、ギャグも入っている。最近の流行の要素をしっかり入れた上で面白い。安定している作品です。ガチャを引いてアイテムやスキルを手に入れて、ヒロインたちと事件を起こしたり解決したりする。ラストバトルではギャグ的なかけあいや手に入れたアイテムの伏線を回収してきれいに収束する。ライトノベルらしいライトノベル。

 

kamizimaryu1026.hatenablog.com

 

 

4位横浜駅SF

横浜駅SF (カドカワBOOKS)

横浜駅SF (カドカワBOOKS)

 

 

 横浜駅が増殖して日本を覆いつくした。日本人は駅の中で暮らすエキナカの人々と駅の外に暮らす人々にわかれた。これだけで読みたくなるでしょ。これを読むと小説家になろうとの差別化を図ろうとするカクヨムの本気度が伝わりますよ。駅に管理された社会で人々がどう生きるのか。そのシュミレーションで描かれる人々や社会の表現には真に迫ったものがあります。

 

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3位ヒーローは眠らない

ヒーローは眠らない (富士見L文庫)

ヒーローは眠らない (富士見L文庫)

 

 

 お仕事小説の皮をかぶった○○○! 序盤の特撮ヒーロードラマのプロデューサーに任命された主人公が、監督、脚本、スタッフ、役者を集めていって、1羽を完成させるまでの流れとかさ。業界の知識をいれながら人間同士のぶつかり合いも描いてさ。プロジェクトX感があって面白いですよ。ラストの驚愕の事実も必見です。

 

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2位平安時代にタイムスリップしたら紫式部になってしまったようです

平安時代にタイムスリップしたら紫式部になってしまったようです (角川ビーンズ文庫)

平安時代にタイムスリップしたら紫式部になってしまったようです (角川ビーンズ文庫)

 

 

 カクヨムで一番、王道でストーリの流れが上手いのがこちらですね。イケメンに囲まれてどうしよ~ってさ。主人公が一番幸せな瞬間を描いた上でさ。こうなったきっかけとなるタイムスリップの場面。王子様との出会い。王子様が抱えている問題を解決しようとしようと頑張ったら、あれ? わたし紫式部じゃんってはなしなわけですよ。ネタバレだって? 大丈夫! 序盤とタイトルでラストのネタバレがしてあるから。だからヒロインのピンチも安心して読めます。平安時代の時代考証も古典作品の愛もある! 時代物が好きな人もラブコメが好きな人にオススメです!

 

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1位 うさぎ強盗には死んでもらう

うさぎ強盗には死んでもらう (角川スニーカー文庫)

うさぎ強盗には死んでもらう (角川スニーカー文庫)

 

 

  2度読んでも面白い! 複数の視点が交差する群像劇。カクヨムネット小説大賞ミステリー部門受賞作です。基本、スマホで読み、1話1話ちょっとずつ更新されるネット小説でこれが大賞の一つとして選ばれるってすごいですよ。濃いキャラクター、コミカルな会話劇。明らかになるなぞに驚き、思わず二度読み返す。絶対読むべき作品です!

 

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 オープンされて1周年たった小説投稿サイト、カクヨム。

 大賞作を見ていくと。選ばれた作品からはなろうからの脱却、革命の兆しを感じます。これからもぜひウォッチしていきたいです!

 

 カクヨムに投稿されている俺の作品もぜひ読んでね!

kakuyomu.jp

私、能力は平均値でって言ったよね! 4巻について

 この前、『私、能力は平均値でって言ったよね!』の4巻をよみました。

 

 この作品はこんな話です。

 

 アデルって貴族の女の子がさ。10歳のある日、頭痛とともに転生者としての記憶を取り戻す。そうだ、わたしはアデルとして生まれる前は海里って名前の女の子で、まわりから天才と呼ばれていたのが嫌だった。だから神様に次に生まれ変わるとしたら普通の女の子にすべて平均値の女の子に生まれ変わらせてほしいって願ったんだと。だけど、なにかおかしい。魔法は得意だし、成績はトップ。力もコインを片手で曲げれるくらい。そっか平均値ってことはエルフやドラゴンを含めての平均なんだ! ってそんなのわたしの求める平均じゃないよ!

 

 1巻から3巻の流れがさ。ふつうの女の子になりたい少女がさ。チートを持ちつつもそれを隠そうと考え、隠せてたと思っていたんだけど、周囲から見たらバレバレだよってはなしだったんですよ。この辺の話もさ。可愛いし、面白いから是非読んでほしい。主人公の希望と周囲の流れの認識のズレとさ。目立ちたくない、評価されたくないのにしてしまうってのがさ。彼女の天然さとにじみ出てしまう人柄の良さ、かわいげみたいなとこがさ。語らずとも読み取れてしまうからさ、読んでてニヤニヤしちゃうんだよね。

 

 4巻からさ。そのふつうであろうとする少女の話ってのがさ。ある強敵との戦い。この世界に隠された秘密に触れたことでさ。一区切りついてさ、新しいテーマ、ストーリーに移行している巻だと思うんですよ。

 

 彼女さ。今回、こういうこと考えるんですよね。

 

引用

……自分は、普通の幸せが欲しかった。

でも、よく考えてみれば、自分が考える『普通』は、この世界の者にとっての『普通』なのだろうか。

 

 彼女が自分が転生前に思い描いた「ふつう」という幸せ。それを自分の能力が他の人と同じ平均値であれば手に入るはずだと考えていた。だけど、すべての平均値の結果、手に入れたのは普通ではない自分だった。だからこそ、彼女は自分の求める普通の少女を演じようとするも。周囲からは自分が望んだようなふつうの評価が得られない。

 

 この作品はさ、ふつうであることとふつうになりたいは違うっていうさ。モブサイコとかで触れているテーマを。ギャグ全開でやってる作品なんですよ。

 

 僕らはさ。子供の頃にさ。ふつうの人になりたいっておもうじゃん。ふつうに生きて、ふつうに勉強して、ふつうの大学にはいって、ふつうに結婚したいって。だけどさ、そのふつうってじつは難しい。なぜなら、僕らが思春期に考えるふつうってのはさ。けっして、ふつうじゃないんだよ。

 

 クレヨンしんちゃんのさ。野原ひろしとかマスオさんとかいるけどさ。大人になったら、ああいうふつうの大人になるのは難しいんだってわかるじゃん。

 

 僕らが痛みを伴って知っていく思春期に憧れた「ふつう」のスゴさを彼女はギャグ空間で知っていった。そのうえで、彼女は自分がふつうに生きたいと考えていた時に思っていた。その言葉の裏を知っていくんだよな。

 

 自分はふつうに友達と仲良くしたい。

 自分はふつうに冒険したい。

 自分はふつうにおいしいものを食べたい。

 

 じつはふつう、ふつうと言いながら。じつは自分が欲しかったのはべつのもので。それをふつうではない自分でふつうでない方法で手に入れていた。この気づきを何度もしているのが1巻から3巻の流れでさ。今回は仲間が危険にさらされ、世界の危機を知ったことでそれがピークに達した。

 

 今回、主人公がある決断をしてパーティーから離れようとしたけど、ギャグにオチたって展開あるけどさ。その時の彼女の心の流れ。テーマの決着ってのを言語化するとさ。そういうことなんだと思うんだよ。

 

 だからさ、こっからが気になるんだよ。ふつうであることをやめた女の子が、迫ってくるかもしれない危機にどうやって立ち向かうのか。続きが気になる。是非出てほしい。ウェブ版も応援してます!

 

 

 

ネタバレ注意!ひるね姫を観ました

 ひるね姫を観ました。

 

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あらすじ

 高校生のココネはある夢を見ていた。それは自分がハートランドのお姫さまになる夢。お姫さまは魔法のタブレットで機械に命を吹きこむことができた。だけど、ハートランドの外から姫の力を狙うオニが現れ、国から危険視されたお姫さまは大臣からタブレットを奪われ、ガラスの塔に幽閉されることに。このままじゃダメだ。わたしが鬼を倒すんだ。そう奮起した彼女は、城の外に飛び出し、魔法の力で鬼を倒そうとするも……

 そこでココネは目を覚ます。最近、同じ夢を見るなと思うココネ。もうすぐ夏休みがはじまる一学期最期の学校の帰り道に、彼女は父が逮捕されたことを知る。そんななか、父がココネのスマホに残したメッセージは、タブレットを守れ。夢の中でみたタブレットと同じだと驚くココネに、一人の怪しげな男がタブレットを奪おうとする。その男の顔はお姫さまからタブレットを奪おうとした大臣その人だった。

 ココネの夢と現実がシンクロする時、父と母の隠された思い出が明らかになる!?

 

 まず絵がきれいなんですよ。けっこう複雑な話しだからラストまでちゃんとみないとよくわからなくなるんですけどね。

 

 女の子の動きだったり。ロボットの動き。ハートランドの描写。車の描きこみ。すべてが丁寧なので、話の中身を推測したり、読み取るまでかなり時間がかかるのに面白くみることができました。

 

 特にさ、ココネちゃんがメッチャ可愛いんだよね。目鼻立ちの整った美人さんでさ。でも、眠そうな時はキツネのように鋭くなる。顔立ちがお母さん似で目元はお父さん似なの。

 

 このへん、今回のはなしでは重要なんですよ。なんてったって、今回のはなしはココネちゃんのお父さんとお母さんの出会いの話ですからね。

 

 今回はネタバレしなきゃ話せない話ですから注意してくださいね。

 

 簡単に言うと思い出のマーニーだったんですよ。ココネが寝るたびに見る夢、それは幼い頃、お父さんが何度も話してくれたおとぎ話の内容だった。タイトルはエンシェンとハートランド、ココネはずっとその物語の主人公は自分だと思っていた。しかし、騒動の最中、現実とシンクロしつつある夢を通して、それがお母さんとお母さんの会社の話を寓話化したものであることを知るんです。

 

 ココネのお母さんは、ある自動車会社の娘さんでさ。ココネのおじいちゃんの跡を継ぐためにさ。アメリカの大学も出てるんだよ。んでさ、娘さんはさ。会社の未来のために自動運転技術を研究しようとしてたんだよ。だけど、おじいちゃんは大反対。ソフト屋に頭を下げるなど日本の自動車会社の破滅だ! もういい!  お前など会社から出て行けぇ! 

 って話になって、出ていったお母さんは一人で自動運転技術を研究しようとしたお父さんと出会い、仲間を得て、ココネを産んだ後で自動運転技術の実験中に死んじゃいましたって話らしいんだよ。

 

 自動車に命を吹きこむ魔法ってのがこの自動運転技術でさ。大臣はさ、この魔法を使ってさ。王座に、つまり社長の椅子に座ろうとしたってのが今回のはなしなんだよね。

 

 面白かったですよね。魔法だと思えたひとつひとつの出来事に理由があってさ。一人の少女が真実を知って大人になる。

 

 素晴らしい映画でした。

 

 

 

異空菓子処「ノンシュガー」について

 さて、今回紹介する作品はこちら、『異空菓子処「ノンシュガー」』です。

 

あらすじ(アマゾンから引用)

目が覚めると、知らない場所でした。いいえ、それどころか、私には一切の記憶がありません。覚えているのは、お菓子を作ることだけ。目の前に現れた案内人(?)は、悩みを抱えた人だけが迷い込むという、この不思議なお菓子屋さんで働くことで、記憶が戻るというのですが…。日常から少し外れた菓子処で、人とお菓子が紡ぐ物語。―さて、本日のお客様はどんな方でしょう?

 

 一つの舞台、一人の少女を中心とした短編集ですね。ほぼ同じ形式で書かれています。

 

 まず、一人の登場人物が現れる。その人はなにか悩んでいる。するとある日、その人は謎のお菓子屋の前に立っている。はて、こんなところに菓子屋があっただろうかと思うも、せっかくだからと店に入ると、一人の少女が。

 彼女は無料で一品、お菓子を振る舞う。食べたお客さんは少女と会話が弾み、つい自分の悩みを少女に喋る。

 すると少女はお客さんに出したお菓子になぞらえてお客さんの悩みを解決する手立てを語る。

 

 これ、何かと言えばさ。美味しんぼなんだよな。あれもさ、この〇〇みたいに俺も頑張るゼみたいな話、ときどきあるんですよね。

 

 ひとというのはさ。なにか悩みだったり、問題だったりをたとえ話にして語るってのはよくあるし、したがるもんなんだけどさ。この作品はそのたとえが上手いんだよね。

 

 それとさ、この話さ。お客さんの悩みを解決すればするほどさ。お店に材料が追加される仕組みになってるの。最初は卵と牛乳と砂糖しかなかったんですよ。そこから、バター、生クリーム、フルーツと話を追うごとに増えてくの。ネット小説特有のさ。積み重なっていく成果の可視化ってのもおさえているんですよね。

 

 材料が限られていて。お客さんの悩みを菓子で解決する。これさ、作者に豊富なお菓子の知識がないとなかなかできないんだよ。そこがさ、すごいんだよね。

 

 お菓子で人の悩みを解決する。その流れを繰り返しながら。明らかになっていくのが、少女は記憶をなくす前、なにをしていたのか。この謎の一本の軸にしている。

 

 甘いスィーツで心を溶かす人情話でありながら、自分とはなにかを問い続ける思春期の悩みをテーマにしている。そして、それの答えがさ。わたしのやりたいことってなにか。それは自分のお店でお客さんにお菓子を出すことにつながる。自分とはなにかを問い続けると、自分の好きなものに行き当たり、その好きなものを通しての人間関係で自分を知る。これ、僕らにもよくあることです。

 

 これはそういう話でさ。綺麗にまとまったいい作品でした。読んでて甘いもん食べたくなったもん。

 

 

 

 

重装令嬢モアネットについて

 

 さて、今回紹介する作品はこちら、『重装令嬢モアネット』です。

 

あらすじ

「お前みたいな醜い女と結婚するもんか!」幼い頃の婚約者の言葉がトラウマとなり、全身に鎧をまとった令嬢・モアネット。年頃になっても一人(と一匹)で暮らしていた。そんな時、元婚約者の王子とその護衛騎士・パーシヴァルがやって来る。なんでも、王子が不幸に見舞われ過ぎており、原因はモアネットの呪いだと告げられて…!?「素顔は見せません!」「この鉄塊が!」心は乙女の鉄塊が魅せる、究極のラブ・コメディ!

 

ゼロよりむしろマイナスからのスタート

 ラブコメディとして、かなりうまいつくりになってますよ。まず、「お前みたいな醜いオンナと結婚なんかするもんか!」と王子に言われたから、鎧を着ることにしましたってとこからはじまるんだけどさ。つまり、マイナスからのスタート。だからこそ、護衛騎士のパーシヴァルと関係が進んだ時にカタルシスを感じる。

 

 でさ、話の肝が王子さまにかけられた呪いをだれがかけたのか。その呪いを解こうって話なんですけどね。

 

 でも、それだとこんなこと言う王子なんかっていうヘイトが出る。それをですね。この作品では呪いで不幸に見舞われすぎる王子って属性を足すことで、そのヘイトをギャグに転換している。

 ざまぁって笑っているあいだに、現在の王子のひととなりを知っていき、一人の人間としてコメディの登場人物として楽しめるようになってくるんですよ。

 

 つまり、王子がいい感じに空気になってくれるんですね。

 

 荒木飛呂彦さんの自身の創作術を書いた本。『荒木飛呂彦の漫画術』でさ。マイナスの状態から少しずつステップアップするように書くのが王道的なおもしろさだって、荒木さん言ってるんですけどね。この作品も丁寧なヘイトとギャグのバランス調整で、うまくストーリーを動かしている。

 

呪いをだれがかけたのか

 で、読み進めていくとですね。どうやらモアネットは魔女の家系で一定期間呪いを解く札もつくれる。また、魔女は他にもいて同じ魔女が訪れたら歓迎しなくてはいけないらしいってのが僕らにもわかってきてですね。

 

 王子とパーシヴァルもですね。それじゃあ、隣国に別の魔女がいるからモアネット、俺たちと一緒に来てくれってはなしになるんですよ。

 

 虫がいいじゃねぇかってさ。僕から聞いた話じゃ思うじゃん。違うんですよ。読んでるとですね。こいつじつはいいやつなんじゃねえかなってうすうすおもうんですよ。

 うすうすってのはさ。つまり直接は言っていない。この王子、呪いかなんかで言わされたんだろうなってでっかい釣り針がさ。この作品にはゆらゆらと目の前でぶらさがってんだよ。

 

 そのくらい王子がいい人すぎるんだよな。あらすじを読んだ時はさ。俺様系をイメージしてたからさ。てっきり表紙の右上のヤツが王子かとおもうじゃん。ちがうんだよね、ネコを頭に乗せてるさ。細い目のヤツが王子なんだよ。

 

 だからこそ、違和感が生じる。モアネットの過去の出来事が本当に起きたのか。それはモアネットが感じた通りの出来事なのかって疑っちゃうんですね。

 

呪いを解く話  

 

(引用)

 彼の言わんとしていることは分かる。市街地で見たアレクシスに対する周囲の態度はあからさまを通り越し、なにか尋常ではないものを感じさせた。まるでアレクシスを囲む全ての人間が一晩にして入れ替わったようではないか。

 元々アレクシスに恨みがあったモアネットでさえ、これはおかしいと思えるほどなのだ。

 これも呪いか。だがどこまでが呪いなのか。

 

 誰が、誰を、いつから、どう、呪っていたのか。

 

 

 さいさん、言った通りこの話は呪いの話です。誰が呪いをかけたのか。誰を呪っていたのか。いつからか。どんな呪いか。この作品はそれを問い続けている。

 

 おもしろいのは、この作品で語られている呪いってのがさ。王子の不運の呪いみたいな直接的な意味合いだけでなく、重装令嬢モアネットのような。幼い頃のトラウマによる心理的な呪いも描いていることだ。

 

 モアネットの話は僕らにも身近な話なんですよ。

 

 今からたとえ話をふたつしますね。

 

 たとえばさ、政治家がちょっとしたことで炎上してさ。政治家やめるって話あるじゃないですか。でさ、何年かたった後さ。今のやつもそんな大したことないし変えなきゃよかったなとかおもうわけですよ。個人名出すとザワッとするから言わないけどさ。

 

 あるいはさ、クラスでさ。誰かがキミの悪口を言ったとしてさ。それがキミの知らないとこでひろまってさ。キミはそういう人間だったことになる。否定しても、もう遅い。まわりに言われるうちにその言葉はキミの心になじんで、キミ自身をそういう人間に変えてしまった。

 

 そういうことってない? 俺はありましたよ。

 

 この作品は、二つの話がどっちも同じだって言ってるようにみえるんですよね。政治家の噂はさ。じつは僕らの意思でやってるようで、それも権力争いの延長でさ。じつは誰かに動かされた形でその政治家をこき下ろす空気にされている。

 悪口によるクラスヒエラルキーの変化もさ。だれかがキミを悪くいようとしたわけなんだよ。

 この二つの話がさ、個人が、あるいは組織が誰かを貶めようとしているから起きる「呪い」という言葉の上では同じなんだ。そういう話なんですよね。

 

 

  

 

この勇者、俺TUEEEくせに慎重すぎる

 さて、今回紹介する作品は、『この勇者、俺TUEEEくせに慎重すぎる』です。

 

あらすじ

超ハードモードな世界の救済を担当することになった駄女神リスタ。チート級ステータスを持つ勇者・聖哉の召喚に成功したが、彼はありえないほど慎重で…?「鎧を三つ貰おう。着る用。スペア。そしてスペアが無くなった時のスペアだ」異常なストック確保だけに留まらず、レベルMAXになるまで自主トレし、スライム相手に全力で挑むほど用心深かった!そんな勇者と彼に振り回されまくる女神の冒険譚、開幕!

 

 文字通り、スペックが異様に高い俺TUEEEな勇者が、ありえないほどの慎重さで異世界を救う話です。

 『この勇者、俺TUEEEくせに慎重すぎる』で 注目すべき点は二つあります。一つは、女神の一人称によるおれTUEEEもので、二つめは作者が凄惨なグロ描写に重きを置いている点です。

 

女神の一人称による俺TUEEEもの

 この作品、最後まで女神の一人称で話が進むんですよ。他ではあまりみないですよね。

 

 女神のリスタは神でありながらもイケメンの主人公にこころを動かされたり。主人公にいいように使われてしまう。神であるのに人間味のあるいわゆる駄女神の属性を持つキャラクターです。主人公にふりまわされるこの子は読んでてかわいいです。

 

 リスタは、今まで異世界転生した勇者をサポートすることで、何度も世界を救った立場であるため、ふつうはそんなことしないだろっと主人公にツッコむことができる。つまり、異世界転生ものを読み慣れている僕らが乗れるキャラなんですね。

 

  であると同時に、駄女神属性をもつ彼女は。異世界転生もうええねん!って考える俺らが見下せるキャラでもあるんです。異世界転生もうええねんの話は下の記事でしています。

 

kamizimaryu1026.hatenablog.com

 

 異世界転生ものに食傷気味な僕らは、勇者だったらこうあるべきと考える女神のリスタに対して、こう思うんですね。いやいや、そんな上手くいかないって。俺が魔王だったら、スライム狩ってレベルあげるとこなんて待たねぇし。俺TUEEEとかないからと。異世界舐めんじゃねぇよと。

 

 異世界転生慣れしている駄女神と異世界舐めんじゃねぇよと入念に準備する勇者。二人のうちのどっちかに感情移入できるようにしているんですね。

 

作者の凄惨なグロ描写

  この作品でもう一つ目立つのがかなり踏みこんだグロ描写。描写というよりも、発想っと言った方が正しいですね。拷問のため生爪を剥がしたり、逆花火だったり。わりかし人が大量に死んだり、助けられるギリギリまで痛い目みてたりするんですよね。

 もともと、難易度S級の異世界を救わなきゃいけないどうしようってはなしだから、そのための絶望感を煽る演出なんだろうけどさ。このへん、ちょっとモヤっとしました。

 

 ただ、これをやりたいからこそ、慎重に行動する勇者というキャラクターが必要になってくるんだろうなとも考えられますよね。俺TUEEEで先を予測して動く勇者がいるからこそ、敵の残忍さをどんどんインフレさせることができる。ネット小説のセオリーである読者にストレスをかけないってとこと残忍な描写、絶望的状況のバランスってのをうまくギャグや主人公の俺TUEEEで釣り合いをとって描いています。

 

竜宮院聖哉(りゅうぐういん せいや)は何者か

  読んでいて気になるのが、召喚された勇者、竜宮院聖哉が何者かっですね。読んでいると、どうやらリスタの先輩であり、ベテラン女神のアリアドアは彼のことを知っているらしい。

 

 彼女は意味深なこと言ってるんですよね。

 

(引用)

「アリア。いつも本当にありがとう」

「いいのよ。このくらい。私が出来ることは何でもしてあげたいの。それが私のせめてもの……」

「……アリア?」

 真剣な表情で何事かを言いかけていたアリアは、そこで口をつぐんだ。

「いいえ。何でもないわ」

そしてアリアはいつものように優しく微笑んだ。

 

 私のせめてものって言いかけて、続く言葉といえばもちろん罪滅ぼしでしょう。作中でアリアドアは300の世界を救ったけど、一つだけ救えなかった世界があると言っている。このへんから察しがつくように。たぶんその救えなかった世界で召喚された勇者が竜宮院聖哉で、その経験から慎重すぎる異世界俺TUEEEをやっていると考えられますよね。

 

 この過去話がいつ明らかになるのか。これから楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ注意! ギャルスレイヤーだけどギャルしかいない世界に来たからギャルサーの王子になることにした


 カクヨムの書籍化ラッシュをきっかけにネット小説の紹介ブログをはじめてからはや2ヶ月。

 今日はネット小説でなく、最近出版されたライトノベルを紹介させてください。

 

 さて、今回紹介する作品はこちら、『ギャルスレイヤーだけどギャルしかいない世界に来たからギャルサーの王子になることにした』です。

 

あらすじ

伝説的カリスマギャルを姉に持つ奈々倉瑠衣。姉への複雑な思いはいつしか怒りに変わり、漆黒の『ギャルスレイヤー』として渋谷・原宿に降臨するようになる。ある日、願いが通じたのか突然渋谷・原宿が滅亡した・・・・・・。1台のプリクラ機を残して。ギャルの聖地化した『神のプリクラ』を破壊すべく三号玉の花火を持ち、原宿に立つギャルスレイヤー。しかし誤って自分に発射してしまい瑠衣は命を落としてしまう。その後転生をした瑠衣が目覚めたのはギャルしかいない異世界「サヴァンギャルド」だった。

 

 この作品の魅力はおもに三つ。

 独自の世界観と卓越した文章力、話の構成力です。

 

独自の世界観について

ギャルのカリスマ、マルコの圧倒的な女子力によってつくられたギャルのための世界、サヴァンギャルド。ファンタジーの世界にいるキャラが全員ギャルだったらって世界なんですけどね。その発想も尊いんだが、それを支える想像力がすごいんです。

 

この話さ。魔法って概念をさ。女子力って言い換えてんだけどさ。これの呪文なり魔法なりがカッコいいんだよ。

 

 たとえばさ、シェリリー・シュシュってキャラがいんだけどさ。その子さ。魔法使う時さ。この子の目の前にクリスタル製のドアが現れるの。そのドアをさ。蹴るように足突っ込むとさ、「膝丈までの長さのあるトップス。レギンスに描かれた、祈りの形に組まれた手が鎖に繋がれたようになっているワンポイント柄」になるんだよ。つまり、足がオシャレな服みたいな装備になってんだな。

 それの名前がさ。「シフォン地ショートトゥニカ。ゆる敬虔ティストなレギンスを添えて」。仮面ライダーとアイカツを混ぜたかのようなアクションに加えてのさ。オシャレなカフェの長いメニューっぽい服の名前を混ぜ合わせた技名!  小学生のころ、ウィンドウブレーカーってかっこいいよなって思ってた俺にとってはさ。マジパネェんだよ。

 他にもさ。ファンタジーをギャルに置きかえたらってのをかなりうまく描いてます。

 

 

卓越した文章力について

 とにかく文章力の高さがすごいですね。

 すべての描写が写真でなく、映像で書かれている。なのに一文一文が短い。すべての地の文がまるで洗練された俳句のようなんですよ。

 

引用その1

ミサが最後に振り返った時、そこに奈々倉瑠衣の姿は無かった。

窓の外へ吹きこぼれていたカーテンが、部屋の中に戻って来るところだった。

 

 ライトな文体で思春期の少年の心の揺れ動きを描く。最近じゃ、それだけがライトノベルの仕事ではないのだけれども。この作品は話と話をつなぐあいだの文もしっかり書いて絞るべきとこは絞り、キャラの動きっていうのもちゃんといれて書いているんですね。しかも、そのライトノベルの枠の中で濃淡を使いわけてきれいな風景描写、心理描写、キャラの関係性の変化を描いている。

 

引用その2

 ミサの瞳が、黄金を溶かすほどの熱さを宿しているように見える。

 金の装飾具達は、桜の花びらが舞う速度で、あるいは泥中に蓮が飲まれていくようにゆっくりと、降り注ぎ続けていた。

 

 一見すると、幻想的なシーン。だけど2回目で読むと。じつはキャラクターの心の闇や。その後の悲劇を予感させるような描写。ギャルスレイヤーは、ここぞって時にライトな文体でたくさんの意味を一つの文に圧縮している。そこがすごい。どこをめくっても名文がある。そこがこの作品のスゴイとこですよ。

 

 

話の構成力

あと、この物語を二度読んでも面白くさせているのが、 二章に書かれているハンバーガーのエピソード。序盤だとさ。一見、ライトノベルの一番シリアスな場面なんだろうなっておもうんですよ。違うんですよね、このエピソードがあることで作品全体をラストまで誤読させてしまい要因になってるんですよね。

 

  しかも、このエピソードが。後々の携帯小説のくだりをギャグとして読めるようにしてしまう。二章で兄弟間の確執の原因がハンバーガーにあると考えてしまうとさ。ついつい、あの時マルコはこう考えていたんだのほうに目がいってさ。後半のじつはもっと大事な部分を見落としてしまう。

 前後の文章で、一つの文章に対する意味合いが180度変わってしまうって手法をさ。あそこまで鮮やかに見せられるとはおもいませんでしたよ。

 

 話の構成、伏線の回収のしかたもきれいなんですよね。このはなしのこれ伏線だったんだうまいなってとこがさ。この5つなんだよ。

 

①自転車  一章

②ユーチューバー 一章

③ハンバーガー屋 二章

④携帯小説  七章

⑤イカスミピザ 八章

 

 これの伏線が回収されるのがさ。⑤が十章、④と③が十一章。②と①が終章。目次を直接書くとこう。

 

 

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 伏線が回収される流れが外側から内側に狭まっているように。入れ子型に回収されていくからさ。頭の中でゴッチャになんないんですよね。そこがさ、きれいなんですよね。

 

カテゴライズされない自分

 この話はさ。テーマもいいんですよね。弟と姉の和解。それがさ、ギャルとオタクとの和解になるかとおもいきや。じつは徹頭徹尾、一人の自意識の暴走。思春期の終わりを描いている。

 姉と弟のあいだで起きたさ。ギャグかと思っていた聖書のくだり。そこがさ、じつはさ主人公の闇の部分につながってんですよね。

 このへんがさ、涼宮ハルヒの一巻でやっていたアプローチをさ。別の形でやったなとおもいました。涼宮ハルヒはさ。特別な人になりたいと願いその延長線上で巨人を使って世界を壊す道を選ぶわけですね。この話の主人公もさ。姉に否定されて傷ついた三年間。それを継続させる形で宿ってしまった憎しみを肯定するために巨人を産んでしまう。じつは自分の闇と向き合う話だったんですよね。

 それで、最終的に主人公はその巨人を受け入れてさ。「女神も追ってこれない休日が、はじまる」。過去との決別ってのを神話で、しかもギャルでやってるってのがスゲーんだよな。

 

 

 

 

 

ネタバレ注意! LA LA LANDを観ました

 LA LA LANDを観ました。

 

 ネタバレがありますので気をつけてください。

 

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あらすじ

 女優を目指すミア、しかしオーディションには落ち続ける。そんななか、ジャズピアニストのセバスチャンに出会う。しだいに2人は恋に落ち、それぞれの夢に向かって歩き出す。

 

 人生のすべてがここにある。月並みな感想ですけど、そう思いました。

 

 最初、まず高速道路の渋滞からはじまるんですよね。みんなイライラした表情。そんななか一人の女性がウキウキとした表情で車の外へと出る。そしたらさ、車に乗ってるみんなも踊りだすんだよね。

 

 ここ、象徴的ですよね。みながみな、ハリウッドにきている。それは夢があるから。それはダンスだったり、楽器だったり。いろんな夢を叶えに俺たちはハリウッドに来たんだ。だけどさ、みんなが同じとこに向かってるから渋滞してるんですよね。夢に向かうエネルギッシュさと、停滞しているリアル。この二つがうまく混ざっている。

 

 この映画はミュージカルなわけなんですけどね。踊りだしたり、歌いだすのにちゃんと理由づけされている。それはこの瞬間、わたしには世界にはこのように見えているんだっていう主観によるリアルなんですよね。だからこそ、最後まで感情移入してみれてしまう。

 

 僕はさ。恋なんてしたことないけどさ。夢に向かう時だったり、むかしのことを思い出すだったりさ。恋をして、夢を叶えてみたいなさ、シチュエーション事態はさ。非現実的なんだけどさ。あいまあいまのさつらいときだったり、どうしようもない時のさ。心の動きはリアルなんだよ。そこが見ててツライんだよ!

 

 僕らが感動する時ってさ、最初に共感があるんだよね。この人は自分と同じだっていう共感がさ。でもさ、その後で泣く時ってさ。その共感を裏切られたときなんだよ。

 

 ミアはさ。夢を一度諦めようとするよね。自分には才能がないんだって言ってさ。田舎に帰るときさ。あんだけ渋滞してた道がさメッチャすいてんだよな。でもさ、セバスチャンがさ。ミアの実家に行くんだよ。ある監督が彼女の舞台を観ててさ。会いたいみたいなはなしでさ。

 

 んでさ、オーディションするわけじゃん。俺、あの辺のくだり好きでさ。その監督さんの撮りたい映画ってのがさ。脚本がなくてさ。俳優のそのときそのときの即興を撮るみたいなのなんだよな。それがいいよね。今までうまくいかなかったのが、脚本どおりにしゃべろうとしてたからでさ。じつはセバスチャンのおかげでさ。自分で脚本を書いて一人芝居をした。それが正しかった。

 

 でさ、オーディションの時に語るんだよな。祖母との思い出をさ。あの時さ、ああ、そういうことってあるよな〜って思ったよ。俺らにはさ。夢と一口で言ってもさ。そう簡単に語りきれるもんでもなくてさ。なにかしらのさ、エピソードがあったうえでさ。だからわたしには夢があるのって言うんだよな。

 

 この作品はさ。夢の話でありながらさ。その夢に向かうために人は自分のための記憶を、ストーリーを、映画を編集してしまう。

 

 それをさ、俺らに気づかせてしまう。残酷な映画なんだよ。

 

 最後さ、片方は女優に。もう片方はジャズバーのオーナーになったわけじゃん。しかも、ミアはさ。他の男と結婚してさ。セバスチャンのピアノ弾くわけだよ。

 

 そして思い出すあの頃。彼はあの時も寂しげにこの曲を弾いてたわ。思わず彼にかけより、素晴らしい曲だわ、と言いかけたその時、2人は幸せなキスをした。

 

 お前らは、これ、じつは実話なんですとのたまって書かれる携帯小説の登場人物かァァァァァ!

 

 そうなんだよ、その時、彼女(あるいは彼なのか!?)が思い出す記憶の数々はさ。スゲェ都合のいいように編纂されたラブストーリーなんだよ。それをみててさ、ちょっとわかると思う瞬間にくる俺の心の中のなにかが崩れてしまった気がする。

 

 俺らはさ、人生のさ、スゲェ上向きな瞬間にさ。なにかしらのストーリーをつくってさ。その先を進んでいこうっておもうんだよな。

 

 ミアもさ。わたしたちの人生って素晴らしいものだったよねってさ。今たっているところからさ。それまでのプラスだけを抜き出すことでさ。これからも頑張ろうってさ。2人はみつあって笑うわけだよ。

 

 でもさ、なんにもなれなかったやつがさ。このさ。どうしてひとは夢を抱き、それに敗れても幸せでいられるのかっていうさ。心の動きというか。仕組みというものをさ。知ってしまうとさ。俺は今までなにをしてたんだ。俺がやろうとしてたことの源は、モチベーションは、あの時の誓いは。脳みそが適当に、俺が都合のいいように編纂した映画に踊らされてただけなのかってさ。思わないでもなくはなくもないんだよ!

 

 だから俺は二度と観ないと思った。もう一度みて、夢って素敵ねの魔法をかけてもらおうなどという甘っちょろいことはしたくないと思った。

 

 たかがミュージカルだと思ったら痛い目みるからな。ホントにマジでさ。

 

 

 

 

ヒーローは眠らないについて ネタバレ注意!

  さて、今回紹介する作品はこちら、『ヒーローは眠らない』です。

 

 あらすじ

大手映像制作会社・東光で働く宮地麻由香は、ある日突然、子供向け特撮ヒーロードラマのプロデューサーに任命された。シリーズ人気は右肩下がり。視聴率次第で打ち切りもあり!?おまけに「あなたにとってヒーローとは?」なんて、いきなり言われても。スタッフ間の軋轢、スポンサーからの圧力、ネット炎上に監督の隠し事―数多のトラブルに晒されながら、番組成功のため奔走する麻由香は、果たしてヒーローを見つけられるのだろうか…?また明日頑張る元気をくれる、痛快ワーキングストーリー!

 

  まずお仕事ものとしての完成度の高さに驚きました。取材をしたのか、調べたのか。僕はテレビ業界には詳しくないのですが。戦勇を任された宮地さんや長門監督の書かれ方が。まるで実際にモデルがいるんじゃないかと勘ぐりたくなるくらい。人物像の描写が細かくて、自伝を読んでいるのかと錯覚しそうなくらいリアルなんですよ。

 

 戦勇のプロデューサーに任命され、監督、脚本家、キャスト、スタッフを集め、撮影に乗り出す。ここだけでもお仕事ものとしてはかなり完成度の作品として評価できる作品です。

 

 それでいて、この作品のすごいとこは、お仕事ものとみせかけて、じつはミステリーだったってとこですね。

 

 戦勇の関係者と思われる謎の人物、さかなによって行われるネット内への情報流出。しかもその存在は宮地プロデューサーに対するいわれのないバッシングへと発展し、最終的に驚愕の事実が発覚する。

 

 この後の犯人の正体が明らかになってきた時のさ。伏線の回収の仕方が上手いんですよね。本人の気にもしない所作がじつはこう受け取られていたっていうのがさ。人間の悪意みたいなのを浮き彫りにしたようにみえますよね。

 

 このお仕事ものだと思ったらミステリーでもあったってのがさ。この作品の面白いとこでもあるんだけどさ。じつはこれもヒーローは眠らないっていうこの作品のタイトルであり、テーマにもつながってるんですよね。

 

 このヒーローは眠らないってのはさ。コンテンツは眠らないとも言い換えられるんですよね。主人公の宮地プロデューサーの何気ない行動がさかなから恨まれる結果につながったり。長門監督のしたことが戦勇の新シリーズに影響したりさ。だれかがしたこと、つくったものというのはけっして消えることはなく。眠ったりしない。たしかにそこに存在し続けてだれかにメッセージを発し続ける。今回の話はそうした創作物に対する責任を宮地プロデューサーが持つようになる成長譚にも読めるんですよね。

 

 これは宮地プロデューサーだけのはなしじゃない。君がなんとなくつぶやいたことや。友だちと話したこと。君にとってはどうでもいいことでも誰かにとっては大きな影響を与えるかもしれない。

 

 僕のブログもだれかにとっての眠らないヒーローであってほしいと思ってます。

 

kakuyomu.jp

 

 

モアナと伝説の海観ました ネタバレ注意

 昨日、モアナと伝説の海を観ました。

 

あらすじ 

むかしむかし、半神マウイがティアナの心を奪うと、海は荒れ、闇が広がるようになった。それから行くねんのときが流れた。自分は海に選ばれたのだと気づいたモアナは病に伏せたタラの導きで、島を出て、ティアナの心を返すために旅に出る。

 

 ずっと海に心を惹かれていた少女、モアナ。だがモアナの父は彼女を海に出すことを認めない。このへん、ファインディングニモを思い出しましたね。

 

 外に出たい人、このままでいいと言い張る大人。だけれども高ぶる冒険心を止めることなどできるはずもなくて。

 そして決め手になるのが、祖先のはなし。そう遥か昔自分たちの祖先も旅に出たすえにここにたどり着いたんだ。だから自分も旅に出るんだと船を漕ぎだす。

 前半は島から出られなかったモアナが島から出ようと決意するまでのはなし。このへんかなり感動的でしたね。

 

 そして、彼女はマウイと出会う。マウイは自信満々で、自分は神でむかしからみんなのために頑張ってきたんだと歌い出す。ココナッツは自分が倒したさかなを埋めたら生えてきたし、神様から火を奪ってきた、太陽を縛ったから昼は長くなったんだ。俺は英雄なんだぜって歌なんですけどね。俺、この歌好きですよ。

 

 そんなモアナにマウイは言う。わたしとともに海を渡り、ティアナのこころを返しにいきなさいってね。モアナから、自分は今は英雄と呼ばれてないと知った彼は彼女に乗せられたかたちでティアナのこころを返しにいく。

 

 このマウイってキャラはさ。アメリカみたいでしたよね。開拓者スピリットってヤツでさ。イギリスからやってきた移民たち。彼らは原住民から奪うというかたちで発展してきた。最近まで俺は英雄なんだぜって思ってきた。だけれども、ちょっとまて違うんじゃないかってのがさ、スターウォーズから、もしかしたらもっとまえからそういうツッコミがあるのかもしれない。

 

 そうそう、ティアナのこころを返しに行く途中、火の悪魔ヘカテーの領土を越えるためにマウイが落とした釣り針を拾いに行くんですよね。あそこのさ、カニの歌も好きだった。深海の底でさ。そうさシャイニー、輝いてりゃいいのさって歌さ。いいよね。ホントは真っ暗闇にいるのに、宝石をつけて明るく見せるだから偽物のティアナのこころにだまされる。資本主義を皮肉ってそうだよな。

 

 そしてついにさ。火の悪魔、ヘカテーと対面だよ。マウイも必死で戦うんだけどさ。つい二人に意見が一致しなくてさ。一回負けるんだよね。でっ、マウイはいったん逃げる。

 

 モアナも自分は選ばれたものではないのではと思い。帰ろうとするも、祖母との対話でまた今度は一人でヘカテーに挑戦する。途中からマウイも参戦し、女性が戦いに送り出すかたちでなく一緒に戦うかたちになる。時代の流れを象徴してそうですよね。

 

 でさ、ここで驚きの事実でさ。ヘカテーはこころをなくしたティアナでさ。モアナは燃える彼女に迷いもせず向かい合うことで、ヘカテーの怒りの炎を沈め、こころをかえすんですよね。

 このへんでさ、ああ、この作品、アナと雪の女王だったんだって思いました。

 

 少しも寒くないわと言い出したエルサのこころをアナが溶かしたみたいにさ。こころを返して切れたティアナにさ、こころを返したモアナ。女性は傷つついてんだよ!って叫んでる映画を二本続けてみることになるとは思いませんでしたよ。

 

 たぶん今回の話はアメリカの開拓者スピリットと資本主義が手を組んでさ。失ったまるまるを取り戻そうって話なんだろう。

 

 アメリカに詳しくないからこのまるまるがわからないんだけどさ。