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神島竜のそう、それが言いたかった

twitterでは言えなかった長い話をダラダラ語ろうかと思います。

異空菓子処「ノンシュガー」について

 さて、今回紹介する作品はこちら、『異空菓子処「ノンシュガー」』です。

 

あらすじ(アマゾンから引用)

目が覚めると、知らない場所でした。いいえ、それどころか、私には一切の記憶がありません。覚えているのは、お菓子を作ることだけ。目の前に現れた案内人(?)は、悩みを抱えた人だけが迷い込むという、この不思議なお菓子屋さんで働くことで、記憶が戻るというのですが…。日常から少し外れた菓子処で、人とお菓子が紡ぐ物語。―さて、本日のお客様はどんな方でしょう?

 

 一つの舞台、一人の少女を中心とした短編集ですね。ほぼ同じ形式で書かれています。

 

 まず、一人の登場人物が現れる。その人はなにか悩んでいる。するとある日、その人は謎のお菓子屋の前に立っている。はて、こんなところに菓子屋があっただろうかと思うも、せっかくだからと店に入ると、一人の少女が。

 彼女は無料で一品、お菓子を振る舞う。食べたお客さんは少女と会話が弾み、つい自分の悩みを少女に喋る。

 すると少女はお客さんに出したお菓子になぞらえてお客さんの悩みを解決する手立てを語る。

 

 これ、何かと言えばさ。美味しんぼなんだよな。あれもさ、この〇〇みたいに俺も頑張るゼみたいな話、ときどきあるんですよね。

 

 ひとというのはさ。なにか悩みだったり、問題だったりをたとえ話にして語るってのはよくあるし、したがるもんなんだけどさ。この作品はそのたとえが上手いんだよね。

 

 それとさ、この話さ。お客さんの悩みを解決すればするほどさ。お店に材料が追加される仕組みになってるの。最初は卵と牛乳と砂糖しかなかったんですよ。そこから、バター、生クリーム、フルーツと話を追うごとに増えてくの。ネット小説特有のさ。積み重なっていく成果の可視化ってのもおさえているんですよね。

 

 材料が限られていて。お客さんの悩みを菓子で解決する。これさ、作者に豊富なお菓子の知識がないとなかなかできないんだよ。そこがさ、すごいんだよね。

 

 お菓子で人の悩みを解決する。その流れを繰り返しながら。明らかになっていくのが、少女は記憶をなくす前、なにをしていたのか。この謎の一本の軸にしている。

 

 甘いスィーツで心を溶かす人情話でありながら、自分とはなにかを問い続ける思春期の悩みをテーマにしている。そして、それの答えがさ。わたしのやりたいことってなにか。それは自分のお店でお客さんにお菓子を出すことにつながる。自分とはなにかを問い続けると、自分の好きなものに行き当たり、その好きなものを通しての人間関係で自分を知る。これ、僕らにもよくあることです。

 

 これはそういう話でさ。綺麗にまとまったいい作品でした。読んでて甘いもん食べたくなったもん。

 

 

 

異空菓子処「ノン・シュガー」 (カドカワBOOKS)

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重装令嬢モアネットについて

 

 さて、今回紹介する作品はこちら、『重装令嬢モアネット』です。

 

あらすじ

「お前みたいな醜い女と結婚するもんか!」幼い頃の婚約者の言葉がトラウマとなり、全身に鎧をまとった令嬢・モアネット。年頃になっても一人(と一匹)で暮らしていた。そんな時、元婚約者の王子とその護衛騎士・パーシヴァルがやって来る。なんでも、王子が不幸に見舞われ過ぎており、原因はモアネットの呪いだと告げられて…!?「素顔は見せません!」「この鉄塊が!」心は乙女の鉄塊が魅せる、究極のラブ・コメディ!

 

ゼロよりむしろマイナスからのスタート

 ラブコメディとして、かなりうまいつくりになってますよ。まず、「お前みたいな醜いオンナと結婚なんかするもんか!」と王子に言われたから、鎧を着ることにしましたってとこからはじまるんだけどさ。つまり、マイナスからのスタート。だからこそ、護衛騎士のパーシヴァルと関係が進んだ時にカタルシスを感じる。

 

 でさ、話の肝が王子さまにかけられた呪いをだれがかけたのか。その呪いを解こうって話なんですけどね。

 

 でも、それだとこんなこと言う王子なんかっていうヘイトが出る。それをですね。この作品では呪いで不幸に見舞われすぎる王子って属性を足すことで、そのヘイトをギャグに転換している。

 ざまぁって笑っているあいだに、現在の王子のひととなりを知っていき、一人の人間としてコメディの登場人物として楽しめるようになってくるんですよ。

 

 つまり、王子がいい感じに空気になってくれるんですね。

 

 荒木飛呂彦さんの自身の創作術を書いた本。『荒木飛呂彦の漫画術』でさ。マイナスの状態から少しずつステップアップするように書くのが王道的なおもしろさだって、荒木さん言ってるんですけどね。この作品も丁寧なヘイトとギャグのバランス調整で、うまくストーリーを動かしている。

 

呪いをだれがかけたのか

 で、読み進めていくとですね。どうやらモアネットは魔女の家系で一定期間呪いを解く札もつくれる。また、魔女は他にもいて同じ魔女が訪れたら歓迎しなくてはいけないらしいってのが僕らにもわかってきてですね。

 

 王子とパーシヴァルもですね。それじゃあ、隣国に別の魔女がいるからモアネット、俺たちと一緒に来てくれってはなしになるんですよ。

 

 虫がいいじゃねぇかってさ。僕から聞いた話じゃ思うじゃん。違うんですよ。読んでるとですね。こいつじつはいいやつなんじゃねえかなってうすうすおもうんですよ。

 うすうすってのはさ。つまり直接は言っていない。この王子、呪いかなんかで言わされたんだろうなってでっかい釣り針がさ。この作品にはゆらゆらと目の前でぶらさがってんだよ。

 

 そのくらい王子がいい人すぎるんだよな。あらすじを読んだ時はさ。俺様系をイメージしてたからさ。てっきり表紙の右上のヤツが王子かとおもうじゃん。ちがうんだよね、ネコを頭に乗せてるさ。細い目のヤツが王子なんだよ。

 

 だからこそ、違和感が生じる。モアネットの過去の出来事が本当に起きたのか。それはモアネットが感じた通りの出来事なのかって疑っちゃうんですね。

 

呪いを解く話  

 

(引用)

 彼の言わんとしていることは分かる。市街地で見たアレクシスに対する周囲の態度はあからさまを通り越し、なにか尋常ではないものを感じさせた。まるでアレクシスを囲む全ての人間が一晩にして入れ替わったようではないか。

 元々アレクシスに恨みがあったモアネットでさえ、これはおかしいと思えるほどなのだ。

 これも呪いか。だがどこまでが呪いなのか。

 

 誰が、誰を、いつから、どう、呪っていたのか。

 

 

 さいさん、言った通りこの話は呪いの話です。誰が呪いをかけたのか。誰を呪っていたのか。いつからか。どんな呪いか。この作品はそれを問い続けている。

 

 おもしろいのは、この作品で語られている呪いってのがさ。王子の不運の呪いみたいな直接的な意味合いだけでなく、重装令嬢モアネットのような。幼い頃のトラウマによる心理的な呪いも描いていることだ。

 

 モアネットの話は僕らにも身近な話なんですよ。

 

 今からたとえ話をふたつしますね。

 

 たとえばさ、政治家がちょっとしたことで炎上してさ。政治家やめるって話あるじゃないですか。でさ、何年かたった後さ。今のやつもそんな大したことないし変えなきゃよかったなとかおもうわけですよ。個人名出すとザワッとするから言わないけどさ。

 

 あるいはさ、クラスでさ。誰かがキミの悪口を言ったとしてさ。それがキミの知らないとこでひろまってさ。キミはそういう人間だったことになる。否定しても、もう遅い。まわりに言われるうちにその言葉はキミの心になじんで、キミ自身をそういう人間に変えてしまった。

 

 そういうことってない? 俺はありましたよ。

 

 この作品は、二つの話がどっちも同じだって言ってるようにみえるんですよね。政治家の噂はさ。じつは僕らの意思でやってるようで、それも権力争いの延長でさ。じつは誰かに動かされた形でその政治家をこき下ろす空気にされている。

 悪口によるクラスヒエラルキーの変化もさ。だれかがキミを悪くいようとしたわけなんだよ。

 この二つの話がさ、個人が、あるいは組織が誰かを貶めようとしているから起きる「呪い」という言葉の上では同じなんだ。そういう話なんですよね。

 

 

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

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重装令嬢モアネット (角川ビーンズ文庫)

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この勇者、俺TUEEEくせに慎重すぎる

 さて、今回紹介する作品は、『この勇者、俺TUEEEくせに慎重すぎる』です。

 

あらすじ

超ハードモードな世界の救済を担当することになった駄女神リスタ。チート級ステータスを持つ勇者・聖哉の召喚に成功したが、彼はありえないほど慎重で…?「鎧を三つ貰おう。着る用。スペア。そしてスペアが無くなった時のスペアだ」異常なストック確保だけに留まらず、レベルMAXになるまで自主トレし、スライム相手に全力で挑むほど用心深かった!そんな勇者と彼に振り回されまくる女神の冒険譚、開幕!

 

 文字通り、スペックが異様に高い俺TUEEEな勇者が、ありえないほどの慎重さで異世界を救う話です。

 『この勇者、俺TUEEEくせに慎重すぎる』で 注目すべき点は二つあります。一つは、女神の一人称によるおれTUEEEもので、二つめは作者が凄惨なグロ描写に重きを置いている点です。

 

女神の一人称による俺TUEEEもの

 この作品、最後まで女神の一人称で話が進むんですよ。他ではあまりみないですよね。

 

 女神のリスタは神でありながらもイケメンの主人公にこころを動かされたり。主人公にいいように使われてしまう。神であるのに人間味のあるいわゆる駄女神の属性を持つキャラクターです。主人公にふりまわされるこの子は読んでてかわいいです。

 

 リスタは、今まで異世界転生した勇者をサポートすることで、何度も世界を救った立場であるため、ふつうはそんなことしないだろっと主人公にツッコむことができる。つまり、異世界転生ものを読み慣れている僕らが乗れるキャラなんですね。

 

  であると同時に、駄女神属性をもつ彼女は。異世界転生もうええねん!って考える俺らが見下せるキャラでもあるんです。異世界転生もうええねんの話は下の記事でしています。

 

kamizimaryu1026.hatenablog.com

 

 異世界転生ものに食傷気味な僕らは、勇者だったらこうあるべきと考える女神のリスタに対して、こう思うんですね。いやいや、そんな上手くいかないって。俺が魔王だったら、スライム狩ってレベルあげるとこなんて待たねぇし。俺TUEEEとかないからと。異世界舐めんじゃねぇよと。

 

 異世界転生慣れしている駄女神と異世界舐めんじゃねぇよと入念に準備する勇者。二人のうちのどっちかに感情移入できるようにしているんですね。

 

作者の凄惨なグロ描写

  この作品でもう一つ目立つのがかなり踏みこんだグロ描写。描写というよりも、発想っと言った方が正しいですね。拷問のため生爪を剥がしたり、逆花火だったり。わりかし人が大量に死んだり、助けられるギリギリまで痛い目みてたりするんですよね。

 もともと、難易度S級の異世界を救わなきゃいけないどうしようってはなしだから、そのための絶望感を煽る演出なんだろうけどさ。このへん、ちょっとモヤっとしました。

 

 ただ、これをやりたいからこそ、慎重に行動する勇者というキャラクターが必要になってくるんだろうなとも考えられますよね。俺TUEEEで先を予測して動く勇者がいるからこそ、敵の残忍さをどんどんインフレさせることができる。ネット小説のセオリーである読者にストレスをかけないってとこと残忍な描写、絶望的状況のバランスってのをうまくギャグや主人公の俺TUEEEで釣り合いをとって描いています。

 

竜宮院聖哉(りゅうぐういん せいや)は何者か

  読んでいて気になるのが、召喚された勇者、竜宮院聖哉が何者かっですね。読んでいると、どうやらリスタの先輩であり、ベテラン女神のアリアドアは彼のことを知っているらしい。

 

 彼女は意味深なこと言ってるんですよね。

 

(引用)

「アリア。いつも本当にありがとう」

「いいのよ。このくらい。私が出来ることは何でもしてあげたいの。それが私のせめてもの……」

「……アリア?」

 真剣な表情で何事かを言いかけていたアリアは、そこで口をつぐんだ。

「いいえ。何でもないわ」

そしてアリアはいつものように優しく微笑んだ。

 

 私のせめてものって言いかけて、続く言葉といえばもちろん罪滅ぼしでしょう。作中でアリアドアは300の世界を救ったけど、一つだけ救えなかった世界があると言っている。このへんから察しがつくように。たぶんその救えなかった世界で召喚された勇者が竜宮院聖哉で、その経験から慎重すぎる異世界俺TUEEEをやっていると考えられますよね。

 

 この過去話がいつ明らかになるのか。これから楽しみです。

 

この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる (カドカワBOOKS)

この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる (カドカワBOOKS)

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ注意! ギャルスレイヤーだけどギャルしかいない世界に来たからギャルサーの王子になることにした


 カクヨムの書籍化ラッシュをきっかけにネット小説の紹介ブログをはじめてからはや2ヶ月。

 今日はネット小説でなく、最近出版されたライトノベルを紹介させてください。

 

 さて、今回紹介する作品はこちら、『ギャルスレイヤーだけどギャルしかいない世界に来たからギャルサーの王子になることにした』です。

 

あらすじ

伝説的カリスマギャルを姉に持つ奈々倉瑠衣。姉への複雑な思いはいつしか怒りに変わり、漆黒の『ギャルスレイヤー』として渋谷・原宿に降臨するようになる。ある日、願いが通じたのか突然渋谷・原宿が滅亡した・・・・・・。1台のプリクラ機を残して。ギャルの聖地化した『神のプリクラ』を破壊すべく三号玉の花火を持ち、原宿に立つギャルスレイヤー。しかし誤って自分に発射してしまい瑠衣は命を落としてしまう。その後転生をした瑠衣が目覚めたのはギャルしかいない異世界「サヴァンギャルド」だった。

 

 この作品の魅力はおもに三つ。

 独自の世界観と卓越した文章力、話の構成力です。

 

独自の世界観について

ギャルのカリスマ、マルコの圧倒的な女子力によってつくられたギャルのための世界、サヴァンギャルド。ファンタジーの世界にいるキャラが全員ギャルだったらって世界なんですけどね。その発想も尊いんだが、それを支える想像力がすごいんです。

 

この話さ。魔法って概念をさ。女子力って言い換えてんだけどさ。これの呪文なり魔法なりがカッコいいんだよ。

 

 たとえばさ、シェリリー・シュシュってキャラがいんだけどさ。その子さ。魔法使う時さ。この子の目の前にクリスタル製のドアが現れるの。そのドアをさ。蹴るように足突っ込むとさ、「膝丈までの長さのあるトップス。レギンスに描かれた、祈りの形に組まれた手が鎖に繋がれたようになっているワンポイント柄」になるんだよ。つまり、足がオシャレな服みたいな装備になってんだな。

 それの名前がさ。「シフォン地ショートトゥニカ。ゆる敬虔ティストなレギンスを添えて」。仮面ライダーとアイカツを混ぜたかのようなアクションに加えてのさ。オシャレなカフェの長いメニューっぽい服の名前を混ぜ合わせた技名!  小学生のころ、ウィンドウブレーカーってかっこいいよなって思ってた俺にとってはさ。マジパネェんだよ。

 他にもさ。ファンタジーをギャルに置きかえたらってのをかなりうまく描いてます。

 

 

卓越した文章力について

 とにかく文章力の高さがすごいですね。

 すべての描写が写真でなく、映像で書かれている。なのに一文一文が短い。すべての地の文がまるで洗練された俳句のようなんですよ。

 

引用その1

ミサが最後に振り返った時、そこに奈々倉瑠衣の姿は無かった。

窓の外へ吹きこぼれていたカーテンが、部屋の中に戻って来るところだった。

 

 ライトな文体で思春期の少年の心の揺れ動きを描く。最近じゃ、それだけがライトノベルの仕事ではないのだけれども。この作品は話と話をつなぐあいだの文もしっかり書いて絞るべきとこは絞り、キャラの動きっていうのもちゃんといれて書いているんですね。しかも、そのライトノベルの枠の中で濃淡を使いわけてきれいな風景描写、心理描写、キャラの関係性の変化を描いている。

 

引用その2

 ミサの瞳が、黄金を溶かすほどの熱さを宿しているように見える。

 金の装飾具達は、桜の花びらが舞う速度で、あるいは泥中に蓮が飲まれていくようにゆっくりと、降り注ぎ続けていた。

 

 一見すると、幻想的なシーン。だけど2回目で読むと。じつはキャラクターの心の闇や。その後の悲劇を予感させるような描写。ギャルスレイヤーは、ここぞって時にライトな文体でたくさんの意味を一つの文に圧縮している。そこがすごい。どこをめくっても名文がある。そこがこの作品のスゴイとこですよ。

 

 

話の構成力

あと、この物語を二度読んでも面白くさせているのが、 二章に書かれているハンバーガーのエピソード。序盤だとさ。一見、ライトノベルの一番シリアスな場面なんだろうなっておもうんですよ。違うんですよね、このエピソードがあることで作品全体をラストまで誤読させてしまい要因になってるんですよね。

 

  しかも、このエピソードが。後々の携帯小説のくだりをギャグとして読めるようにしてしまう。二章で兄弟間の確執の原因がハンバーガーにあると考えてしまうとさ。ついつい、あの時マルコはこう考えていたんだのほうに目がいってさ。後半のじつはもっと大事な部分を見落としてしまう。

 前後の文章で、一つの文章に対する意味合いが180度変わってしまうって手法をさ。あそこまで鮮やかに見せられるとはおもいませんでしたよ。

 

 話の構成、伏線の回収のしかたもきれいなんですよね。このはなしのこれ伏線だったんだうまいなってとこがさ。この5つなんだよ。

 

①自転車  一章

②ユーチューバー 一章

③ハンバーガー屋 二章

④携帯小説  七章

⑤イカスミピザ 八章

 

 これの伏線が回収されるのがさ。⑤が十章、④と③が十一章。②と①が終章。目次を直接書くとこう。

 

 

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 伏線が回収される流れが外側から内側に狭まっているように。入れ子型に回収されていくからさ。頭の中でゴッチャになんないんですよね。そこがさ、きれいなんですよね。

 

カテゴライズされない自分

 この話はさ。テーマもいいんですよね。弟と姉の和解。それがさ、ギャルとオタクとの和解になるかとおもいきや。じつは徹頭徹尾、一人の自意識の暴走。思春期の終わりを描いている。

 姉と弟のあいだで起きたさ。ギャグかと思っていた聖書のくだり。そこがさ、じつはさ主人公の闇の部分につながってんですよね。

 このへんがさ、涼宮ハルヒの一巻でやっていたアプローチをさ。別の形でやったなとおもいました。涼宮ハルヒはさ。特別な人になりたいと願いその延長線上で巨人を使って世界を壊す道を選ぶわけですね。この話の主人公もさ。姉に否定されて傷ついた三年間。それを継続させる形で宿ってしまった憎しみを肯定するために巨人を産んでしまう。じつは自分の闇と向き合う話だったんですよね。

 それで、最終的に主人公はその巨人を受け入れてさ。「女神も追ってこれない休日が、はじまる」。過去との決別ってのを神話で、しかもギャルでやってるってのがスゲーんだよな。

 

 

ギャルスレイヤーだけどギャルしかいない世界に来たからギャルサーの王子になることにした (HJ文庫)
 

 

 

 

 

ネタバレ注意! LA LA LANDを観ました

 LA LA LANDを観ました。

 

 ネタバレがありますので気をつけてください。

 

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あらすじ

 女優を目指すミア、しかしオーディションには落ち続ける。そんななか、ジャズピアニストのセバスチャンに出会う。しだいに2人は恋に落ち、それぞれの夢に向かって歩き出す。

 

 人生のすべてがここにある。月並みな感想ですけど、そう思いました。

 

 最初、まず高速道路の渋滞からはじまるんですよね。みんなイライラした表情。そんななか一人の女性がウキウキとした表情で車の外へと出る。そしたらさ、車に乗ってるみんなも踊りだすんだよね。

 

 ここ、象徴的ですよね。みながみな、ハリウッドにきている。それは夢があるから。それはダンスだったり、楽器だったり。いろんな夢を叶えに俺たちはハリウッドに来たんだ。だけどさ、みんなが同じとこに向かってるから渋滞してるんですよね。夢に向かうエネルギッシュさと、停滞しているリアル。この二つがうまく混ざっている。

 

 この映画はミュージカルなわけなんですけどね。踊りだしたり、歌いだすのにちゃんと理由づけされている。それはこの瞬間、わたしには世界にはこのように見えているんだっていう主観によるリアルなんですよね。だからこそ、最後まで感情移入してみれてしまう。

 

 僕はさ。恋なんてしたことないけどさ。夢に向かう時だったり、むかしのことを思い出すだったりさ。恋をして、夢を叶えてみたいなさ、シチュエーション事態はさ。非現実的なんだけどさ。あいまあいまのさつらいときだったり、どうしようもない時のさ。心の動きはリアルなんだよ。そこが見ててツライんだよ!

 

 僕らが感動する時ってさ、最初に共感があるんだよね。この人は自分と同じだっていう共感がさ。でもさ、その後で泣く時ってさ。その共感を裏切られたときなんだよ。

 

 ミアはさ。夢を一度諦めようとするよね。自分には才能がないんだって言ってさ。田舎に帰るときさ。あんだけ渋滞してた道がさメッチャすいてんだよな。でもさ、セバスチャンがさ。ミアの実家に行くんだよ。ある監督が彼女の舞台を観ててさ。会いたいみたいなはなしでさ。

 

 んでさ、オーディションするわけじゃん。俺、あの辺のくだり好きでさ。その監督さんの撮りたい映画ってのがさ。脚本がなくてさ。俳優のそのときそのときの即興を撮るみたいなのなんだよな。それがいいよね。今までうまくいかなかったのが、脚本どおりにしゃべろうとしてたからでさ。じつはセバスチャンのおかげでさ。自分で脚本を書いて一人芝居をした。それが正しかった。

 

 でさ、オーディションの時に語るんだよな。祖母との思い出をさ。あの時さ、ああ、そういうことってあるよな〜って思ったよ。俺らにはさ。夢と一口で言ってもさ。そう簡単に語りきれるもんでもなくてさ。なにかしらのさ、エピソードがあったうえでさ。だからわたしには夢があるのって言うんだよな。

 

 この作品はさ。夢の話でありながらさ。その夢に向かうために人は自分のための記憶を、ストーリーを、映画を編集してしまう。

 

 それをさ、俺らに気づかせてしまう。残酷な映画なんだよ。

 

 最後さ、片方は女優に。もう片方はジャズバーのオーナーになったわけじゃん。しかも、ミアはさ。他の男と結婚してさ。セバスチャンのピアノ弾くわけだよ。

 

 そして思い出すあの頃。彼はあの時も寂しげにこの曲を弾いてたわ。思わず彼にかけより、素晴らしい曲だわ、と言いかけたその時、2人は幸せなキスをした。

 

 お前らは、これ、じつは実話なんですとのたまって書かれる携帯小説の登場人物かァァァァァ!

 

 そうなんだよ、その時、彼女(あるいは彼なのか!?)が思い出す記憶の数々はさ。スゲェ都合のいいように編纂されたラブストーリーなんだよ。それをみててさ、ちょっとわかると思う瞬間にくる俺の心の中のなにかが崩れてしまった気がする。

 

 俺らはさ、人生のさ、スゲェ上向きな瞬間にさ。なにかしらのストーリーをつくってさ。その先を進んでいこうっておもうんだよな。

 

 ミアもさ。わたしたちの人生って素晴らしいものだったよねってさ。今たっているところからさ。それまでのプラスだけを抜き出すことでさ。これからも頑張ろうってさ。2人はみつあって笑うわけだよ。

 

 でもさ、なんにもなれなかったやつがさ。このさ。どうしてひとは夢を抱き、それに敗れても幸せでいられるのかっていうさ。心の動きというか。仕組みというものをさ。知ってしまうとさ。俺は今までなにをしてたんだ。俺がやろうとしてたことの源は、モチベーションは、あの時の誓いは。脳みそが適当に、俺が都合のいいように編纂した映画に踊らされてただけなのかってさ。思わないでもなくはなくもないんだよ!

 

 だから俺は二度と観ないと思った。もう一度みて、夢って素敵ねの魔法をかけてもらおうなどという甘っちょろいことはしたくないと思った。

 

 たかがミュージカルだと思ったら痛い目みるからな。ホントにマジでさ。

 

 

 

Ost: La La Land

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ヒーローは眠らないについて ネタバレ注意!

  さて、今回紹介する作品はこちら、『ヒーローは眠らない 』です。

 

 あらすじ

大手映像制作会社・東光で働く宮地麻由香は、ある日突然、子供向け特撮ヒーロードラマのプロデューサーに任命された。シリーズ人気は右肩下がり。視聴率次第で打ち切りもあり!?おまけに「あなたにとってヒーローとは?」なんて、いきなり言われても。スタッフ間の軋轢、スポンサーからの圧力、ネット炎上に監督の隠し事―数多のトラブルに晒されながら、番組成功のため奔走する麻由香は、果たしてヒーローを見つけられるのだろうか…?また明日頑張る元気をくれる、痛快ワーキングストーリー!

 

  まずお仕事ものとしての完成度の高さに驚きました。取材をしたのか、調べたのか。僕はテレビ業界には詳しくないのですが。戦勇を任された宮地さんや長門監督の書かれ方が。まるで実際にモデルがいるんじゃないかと勘ぐりたくなるくらい。人物像の描写が細かくて、自伝を読んでいるのかと錯覚しそうなくらいリアルなんですよ。

 

 戦勇のプロデューサーに任命され、監督、脚本家、キャスト、スタッフを集め、撮影に乗り出す。ここだけでもお仕事ものとしてはかなり完成度の作品として評価できる作品です。

 

 それでいて、この作品のすごいとこは、お仕事ものとみせかけて、じつはミステリーだったってとこですね。

 

 戦勇の関係者と思われる謎の人物、さかなによって行われるネット内への情報流出。しかもその存在は宮地プロデューサーに対するいわれのないバッシングへと発展し、最終的に驚愕の事実が発覚する。

 

 この後の犯人の正体が明らかになってきた時のさ。伏線の回収の仕方が上手いんですよね。本人の気にもしない所作がじつはこう受け取られていたっていうのがさ。人間の悪意みたいなのを浮き彫りにしたようにみえますよね。

 

 このお仕事ものだと思ったらミステリーでもあったってのがさ。この作品の面白いとこでもあるんだけどさ。じつはこれもヒーローは眠らないっていうこの作品のタイトルであり、テーマにもつながってるんですよね。

 

 このヒーローは眠らないってのはさ。コンテンツは眠らないとも言い換えられるんですよね。主人公の宮地プロデューサーの何気ない行動がさかなから恨まれる結果につながったり。長門監督のしたことが戦勇の新シリーズに影響したりさ。だれかがしたこと、つくったものというのはけっして消えることはなく。眠ったりしない。たしかにそこに存在し続けてだれかにメッセージを発し続ける。今回の話はそうした創作物に対する責任を宮地プロデューサーが持つようになる成長譚にも読めるんですよね。

 

 これは宮地プロデューサーだけのはなしじゃない。君がなんとなくつぶやいたことや。友だちと話したこと。君にとってはどうでもいいことでも誰かにとっては大きな影響を与えるかもしれない。

 

 僕のブログもだれかにとっての眠らないヒーローであってほしいと思ってます。

 

kakuyomu.jp

 

ヒーローは眠らない (富士見L文庫)

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モアナと伝説の海観ました ネタバレ注意

 昨日、モアナと伝説の海 を観ました。

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あらすじ 

むかしむかし、半神マウイがティアナの心を奪うと、海は荒れ、闇が広がるようになった。それから行くねんのときが流れた。自分は海に選ばれたのだと気づいたモアナは病に伏せたタラの導きで、島を出て、ティアナの心を返すために旅に出る。

 

 ずっと海に心を惹かれていた少女、モアナ。だがモアナの父は彼女を海に出すことを認めない。このへん、ファインディングニモを思い出しましたね。

 

 外に出たい人、このままでいいと言い張る大人。だけれども高ぶる冒険心を止めることなどできるはずもなくて。

 そして決め手になるのが、祖先のはなし。そう遥か昔自分たちの祖先も旅に出たすえにここにたどり着いたんだ。だから自分も旅に出るんだと船を漕ぎだす。

 前半は島から出られなかったモアナが島から出ようと決意するまでのはなし。このへんかなり感動的でしたね。

 

 そして、彼女はマウイと出会う。マウイは自信満々で、自分は神でむかしからみんなのために頑張ってきたんだと歌い出す。ココナッツは自分が倒したさかなを埋めたら生えてきたし、神様から火を奪ってきた、太陽を縛ったから昼は長くなったんだ。俺は英雄なんだぜって歌なんですけどね。俺、この歌好きですよ。

 

 そんなモアナにマウイは言う。わたしとともに海を渡り、ティアナのこころを返しにいきなさいってね。モアナから、自分は今は英雄と呼ばれてないと知った彼は彼女に乗せられたかたちでティアナのこころを返しにいく。

 

 このマウイってキャラはさ。アメリカみたいでしたよね。開拓者スピリットってヤツでさ。イギリスからやってきた移民たち。彼らは原住民から奪うというかたちで発展してきた。最近まで俺は英雄なんだぜって思ってきた。だけれども、ちょっとまて違うんじゃないかってのがさ、スターウォーズから、もしかしたらもっとまえからそういうツッコミがあるのかもしれない。

 

 そうそう、ティアナのこころを返しに行く途中、火の悪魔ヘカテーの領土を越えるためにマウイが落とした釣り針を拾いに行くんですよね。あそこのさ、カニの歌も好きだった。深海の底でさ。そうさシャイニー、輝いてりゃいいのさって歌さ。いいよね。ホントは真っ暗闇にいるのに、宝石をつけて明るく見せるだから偽物のティアナのこころにだまされる。資本主義を皮肉ってそうだよな。

 

 そしてついにさ。火の悪魔、ヘカテーと対面だよ。マウイも必死で戦うんだけどさ。つい二人に意見が一致しなくてさ。一回負けるんだよね。でっ、マウイはいったん逃げる。

 

 モアナも自分は選ばれたものではないのではと思い。帰ろうとするも、祖母との対話でまた今度は一人でヘカテーに挑戦する。途中からマウイも参戦し、女性が戦いに送り出すかたちでなく一緒に戦うかたちになる。時代の流れを象徴してそうですよね。

 

 でさ、ここで驚きの事実でさ。ヘカテーはこころをなくしたティアナでさ。モアナは燃える彼女に迷いもせず向かい合うことで、ヘカテーの怒りの炎を沈め、こころをかえすんですよね。

 このへんでさ、ああ、この作品、アナと雪の女王 だったんだって思いました。

 

 少しも寒くないわと言い出したエルサのこころをアナが溶かしたみたいにさ。こころを返して切れたティアナにさ、こころを返したモアナ。女性は傷つついてんだよ!って叫んでる映画を二本続けてみることになるとは思いませんでしたよ。

 

 たぶん今回の話はアメリカの開拓者スピリットと資本主義が手を組んでさ。失ったまるまるを取り戻そうって話なんだろう。

 

 アメリカに詳しくないからこのまるまるがわからないんだけどさ。

 

 

 

モアナと伝説の海 (ディズニーアニメ小説版)

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