そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

勇者のパーティで、僕だけ二軍について

 さて、今回紹介する作品はこちら、『勇者のパーティで、僕だけ二軍!?』 

 

 あらすじ

 魔王討伐における人類の希望―勇者。そんな勇者が率いる最強パーティに、炊事・洗濯さらには買い出しを極めた選ばれし雑用がいた。彼の名はロキ。パーティで唯一の二軍である!「僕は雑用をするためにパーティに入ったわけじゃない!」女遊びに二日酔いとクズすぎる勇者のもと、くじけそうになりながらも一軍を夢見て剣の特訓を続けるロキ。そんなある日、自称・天才美少女魔法使いのルミナの二軍落ちをきっかけに、一軍の座をめぐる闇討ち上等なパーティ内戦争が勃発し―!?この物語は、ぼっちな二軍の少年がメンバーたちの信用を勝ち取り、クズ勇者への下克上を目指す冒険譚である! 

 

 底辺の主人公が努力して這い上がる。最悪の状態から強くなっていく話。こういうのって読んでてイライラするもんなんですけど。この作品はそれが少ないんですよね。勇者自体はクズである、ヒドイヤツだって感じなんですけど。その勇者の周りのヒロインはけっこう優しい子、かわいい子なんですよね。だから虐げられているというよりも庇護されているようにみえますから、あまりストレスを感じずに読めますよね。

 

 それとストーリ―の仕組みとして面白いのは。一見、わがままな勇者に振り回されている主人公なんだけどさ。じつはそのわがままによって、主人公が成長する機会が与えられている。このへん見ているとさ。これ、女王の教室なんじゃねぇかなって思うんですよね。

 

 女王の教室、もう10年くらい前のドラマですね。天海祐希演じる女王のような女教師、阿久津真矢と志田未来が演じる神田和美との学校内での闘争を描いた作品です。金八先生、GTO、ごくせんと、いろんな教師が出てきたわけなんだけどさ。秋葉でトラック突っ込んだとか。2000年にバトルロワイアルが映画化されたりさ。大人が子供がわからない。どういう教育すればいいんだって時に。厳しい時代になるからこそ、厳しい態度で接するんだっていう逆切れみたいな発想のドラマなんですけどね。ストーリーの作り方はうまいんですよね。

 

 阿久津真矢の恐ろしさ描きながらも、主人公たちのひたむきな努力、友情。心が上向きになるシーンを1話1話ちゃんといれながら、ラストあたりで心を折って、続きが見たいと思わせる。さすがは志田未来の出世作ですよ。この後で女王の教室のイメージをひきずった学校内の問題をわかったようなツラで描いたような作品が増えるんですけどね。かなり面白いドラマだった。

 

 これもストーリーラインは女王の教室と同じだと思うんですよね。かなりファンタジーとコメディ寄りではあるんですけど。

 

 この作品の主人公を二軍にしている勇者はさ、女遊びをしたり、パーティーのメンツを変えたり、主人公をボコボコにしたりとさ。読者からかなりヘイトをため込ませるようにイベントを重ねている。だけどさ、この勇者の行為で街にとどまったり、魔法使いが二軍になったりしたことがさ。まわりまわって主人公の成長につながってるんだよな。つまり、じつは勇者と主人公が作品全体でライバル関係でありながら、じつは師弟関係になるように書いてんじゃないかとも思うんだよな。

 

 この辺はさ、カクヨムに投稿されているほうだとちょっと違うんだけどさ。この作品がさ。カクヨムで出版された中で一番大幅に変更点が多い作品であることを留意するとさ。そうなりそうな話になっている気がするんですよね。

 

 2巻が出たら絶対買います。5月予定らしいんで、作者さんにはぜひとも続きを書いてほしいです。 

 

 

 

豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたいについて

  さて、今回紹介する作品はこちら、『豚侯爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい』。

 

あらすじ

大人気アニメ『シューヤ・マリオネット』には、嫌われ者が存在する。魔法学園に通うデニング公爵家三男こと豚公爵だ。そんな悪役に転生してしまった俺は、このままじゃバッドエンド直行!?…だけど熟知したアニメ知識と、『全属性の魔法使い』なんていう無双能力を駆使すれば、学園の人気者になって、運命も変わるハズ!そして、アニメの中では成し遂げられなかった豚公爵のささやかな願い―「おはようございます、スロウ様!」滅ぼされし大国のお姫様。今は俺の従者である愛しのシャーロットへ。君に相応しい男になって、告白してやるんだ。

 

 作品世界内に存在する架空のアニメの世界に転生する主人公。しかも転生した男はアニメの中では一番の嫌われ者。転生したアニメの世界の知識と未来を知っている主人公はそれを利用して嫌われ者から英雄へと変わっていく。その第一歩がこの前発売された1巻の内容です。

 

 パッと見、悪役令嬢転生ものの亜種なんですけど。悪役令嬢転生物のみそでもある「読者と主人公が知っているバットエンドを回避する」っていうカタルシスをいれながらさ。魔法科高校の劣等生みたいなさ。一般人からはダメな奴と思われたり、嘲笑されるんだけど。なぜかすごいやつにだけは主人公の価値がわかって。しかもいいタイミングで事件が起こって、それを主人公が解決してスゲェって言われるさ。「舐めてたアイツはスゴイヤツ」っていう王道が入ってますよね。

 

 作中でモブがさ、アイツはただの劣等生だろって言ってるのを見るとさ、主人公のことをよく知っている俺らはさ。うわ、コイツ舐めてるなってさ。何も知らないモブに対して優越感を感じるしさ。

 

 しかも、そのモブの前で主人公が大活躍してさ。なんだとって驚くモブを見て、ちょっとザマア!って思っちゃうんだよね。

 

 この作品もいい感じにこの爽快感と優越感をうまく作品にいれているんですよね。

 

  あと、もちろんヒロインも可愛いんですよね。シャーロットとかさ。1巻では影が薄いんだけどさ。主人公につくすドジでかわいい女の子って感じで可愛いよね。こういう悪役令嬢転生物の亜種が今まで書かれなかったのはさ。いわゆるさ、全ヒロインが別の男のおてつきの状態でスタートするからさ。今まで書かれなかったんだと思うんだけどさ。あんま気になんないしさ。

 

 これからもっと面白くなるぜって期待感を高めるための1巻って感じでもあるからさ。今から二巻が楽しみです。

 

 

ガチャにゆだねる異世界廃人生活について

  さて、今回紹介する作品はこちら、『ガチャにゆだねる異世界廃人生活』。

 

あらすじ

 ソシャゲガチャをこよなく愛する俺、来宮廻はスキルやアイテムが当たるガチャ能力を手に、異世界への転生を果たした。レアアイテムでの悠々自適ライフを期待していたんだけど、出るのは「たこ焼き1ヶ月分」や「土下座スキル」みたいなハズレばっかりで…こんなの異世界で役に立つワケないだろぉ!!しかも「町まで案内しなさい!お金は払うからお願いします!」迷子のポンコツ盗賊少女と出会ったことから、伝説の魔物退治やら、次々と面倒事に巻き込まれて!?―でも信じてる。全力でガチャりまくれば、いつかはSSRで理想の生活が出来るってな。ガチャ運任せの異世界物語、回転開始!

 

 ガチャを回すことでスキルやアイテムを手に入れる。しかし、どれも一見つかえないものばかり。そんなアイテムとスキルを使いこなしてあらゆる障害を突破する。スキルチートの王道を踏んでますね。そのうえで、このはなしにはどう読んでも無視できない作品があるんですよね。

 

 基本的なプロットがさ、こう。

 

(『ガチャにゆだねる異世界廃人生活』の基本ストーリー)

 異世界に転生した主人公。そのとき出会った盗賊とビナギ村に行く。しかし、盗賊には迷子癖があり、さまざまなトラブルを主人公に持ち込む。その過程でサディスティックな変態シスター、近距離魔法しか打てない魔術師が仲間となり、ビナギの村で一緒に住むようになる。

 

 見てわかるようにこれ、「この素晴らしい世界に祝福を」をけっこう意識して書いてるんですよ。

 

(『この素晴らしい世界に祝福を』の基本ストーリー)

 異世界に転生した主人公。一緒に転生した女神と始まりの街、アクセルに行く。しかし、女神はポンコツで、さまざまなトラブルを主人公に持ち込む。その過程でドエムなクルセイダ―、爆裂魔法しか打てない魔術師が仲間となり、アクセルで一緒に住むようになる。

 

 一回設定を文字で起こしてから、ちょっとずつ書き換えたんじゃないかってくらい似てますよね。しかもちゃんとべつの作品としての面白さを確立している。

 

 たとえるならさ。フェアリーテイルって、序盤はワンピースにメッチャ似ているけどさ。話進んでくごとに、フェアリーテイルもフェアリーテイル独自の面白さを確立してったじゃないですか。あれと同じでさ。パクリじゃなくて、勉強しているなっておもうんですよ。 

 

 この作品さ、3人の女の子が主人公と同棲することになるんだけどさ。今のところ、このすばと比べると恋愛要素は薄いんですよ。盗賊の子は若干主人公を意識している描写はあるんだけどさ。今のところはハーレムというよりもさ。恋愛のちょい前段階の友達のようなぬるま湯の関係を持続している感じなんですよね。ここいいよな。正直言ってさ、『僕は友達が少ない』とかさ、ハーレムゆえにどの女の子を選ぶとかあーだこーだとかさ。そういう展開さ、見飽きたとか以前にもう疲れたって思っちゃうんだよな。その点、こっちはちょうどいい。このすばも恋愛要素がうすいっちゃ、うすいんだけど、まだまだ熱いんだよな。もちろん、これからどうなるかわからないからさ。あくまで一巻ではここがよかったってはなしだよ。

 

 あとはさ、じつはこの主人公のマワルさ。このすばのカズマよりも安定した生活を過ごしてるのもいいよね。後半も冒険もしてるっちゃしてるんだけどさ。マワルの目的が魔王を倒すとかでなく、自分の能力であるガチャを引きまくることで。そのために得ポイントをためなければいけないって話だからさ。いい感じに女の子と適度な関係を保ちつつ、街の清掃したり、たこ焼き売ったりして、時々冒険するって感じがさ、いかにも異世界で普通にくらしてます感があるんですよね。

 

 読んでて、俺の好きな話でした。オススメです。

 

 

医療魔術師は、もう限界ですについて

  さて、今週紹介する作品はこちら。『医療魔術師は、もう限界です!』。

 

あらすじ(amazon引用)

 天才医療魔術師のジークは今日も大量の命を救う。美人助手のオータムに優しく厳しく支えられ、睡眠を削り、体力も限界、それでも診療所には重症患者が列をなす。「先生、500人追加です!」「もう……限界です」

 

 物語の舞台と主人公のキャラのつくりかたがうまい作品ですよ。

 主人公は幼いころから天才の医療魔術師。彼は戦乱の絶えない二つの大国の間に診療所を構えているため、診療所には患者が絶えない。ゆえに眠れる時間がない。休みたいと嘆くも、そばには死んでも働けとののしる美人の助手がいる。しかし、女子も口では厳しい態度をとりつつも、心の中では主人公を尊敬していて……ってはなしなんですけどね。

 

 まず、この不眠不休で働いている状況ってのが今でいうとこのブラックなんですよね。休みたいけど休めない、寝させてほしいけど、眠れない。今の時代、僕らのほとんどが経験していることですよね。

 

 こういうのって、最近いろんな作品でもあるんですよ。だけど、だいたいが底意地の悪い上司がいるとか。こういう仕事しかないとかさ。社会だとか、個人とかのわかりやすい悪がいるはずっていう単純な図式で描かれている。

 

 でも、この話だと主人公が働かなきゃいけないことの理由に対して、こんなことをオータムが言ってるんですよ。

 

(『医療魔術師は、もう限界です!』から引用)

――ならば、そこに死にかけている子どもがいればあなたは助けないのか。仮に自分しか助けられないとして、助けを求める手を払いのけることなど果たしてできると言うのか。助けられるのならば、助けるに決まっている。

 医とは呪いだ。力がなければあきらめることもできよう。しかし、救うことのできる力があるのなら、それをしないことは罪となる。――

 

 つまり、ブラックがなぜ起きるかと言えば。その仕事ができるひとがそのひとしかいないからってのがあるんですよ。だからこそ、そうした仕事に対して安い給料が払われているってことをなんとかすべきで。プレミアムフライデーなどで法で仕事の量を制限するってことが必ずしも解決にはつながらない。それをしたら、表面上はホワイトに見えて、一部のひとにだけ仕事が集中してしまう最近世間で言われはじめたゼブラ企業をつくることになりかねないんですね。

 

 この作品の1巻の第1章のはなしのテーマが人を救える力をもった若者が、それゆえに過大な期待と責務を求められるって話でして。いわゆるアメコミでいうところの「大いなる力をもつものには大いなる責任が求められる」って奴ですね。

 

 本来だったら、感情移入できない才能をもったスーパーマンの悲哀ってのを。今の日本のブラックに置き換えていることでとっつきやすい話にしているんですよ。

 

 ちなみに、1章で、主人公は才能がありすぎるがゆえにその才能ゆえに降りかかるたくさんの仕事を抱えざる負えない状況を描いたうえで。2章ではその状況を改善するために大きな病院を建てて、主人公の技術を引き継ぐ後継を育てていこうって流れにつながっていってますので、今後、このテーマがどうオチつけていくのかは気になりますね。

 

 で、この作品のいいところはこのテーマがあくまでこの作品の魅力の半分ってとこですね。こういったシリアスもあるんだけど、じつは後半で作風が変わったのかっていうくらいラブコメのようそがある。つまり、銀魂みたいにシリアスとラブコメとのふり幅が大きいんですよ。

 

 それがオータムとジークとの恋愛ですね。表紙の女の子がさ、最初のページとカラーページで主人公を罵倒してるもんだから。俺、あんまヒロインに期待してなかったんだけどさ。先に進めば進むほどかわいく見えてくるよね。

  この作品、最初の第1章と第6章でぜんぜん話の雰囲気が変わっちゃうんですけどね。じつは主人公のジークの視点とオータムの視点を交互に移すことで、お互いに対する気持ちの変化をちゃんと書きながら。いい感じに盛り上がってきたとこで、噂好きのサリーの視点を使うことで第3者からみた二人のもどかしい関係ってのも描いててさ。シリアスやりながらもラブコメ着地するって無茶をさ。しっかり小技効かせてやりきってんだよね。

 

 この大技を1巻でやっとくとさ。なにがいいって、あとあと2巻以降でシリアス全開で話を進めても、コメディ全開で話を進める。あるいはその両方をまぜる。それがどっちもできるんですよね。

 

 俺、これの2巻出たら買うな、たぶん。

 おすすめの一冊なんでぜひどうぞ。

 

 

アリの巣ダンジョンへようこそについて

 

 さて、今回紹介する作品はこちら、アリの巣ダンジョンへようこそです。 

 

あらすじ

目覚めると、俺は土壁に囲まれた部屋の中にいた。自分の名前も含めて過去をまったく思い出せないが、どうやらダンジョンマスターというものになってしまったらしい。自分の役割を果たそうと、さっそくダンジョンを作り始めるが、通路を掘るにもひと苦労。そこで考えたのが、アリのモンスターに掘らせることだった――無尽蔵に増えて、進化していくアリたちとともに、侵入者たちを撃退せよ! 「小説家になろう」発、大人気ダンジョン運営ファンタジー!

 

 ダンジョンをつくって、管理して、やってきた冒険者を倒す。 スマホの放置ゲーの面白さをそのままライトノベルにしたような作品です。

 

 面白いですよ。たとえば、モンスターに側に立つ話というのは、だいたいがなんだかんだ言って人間の味方、あるいは人間に近いエルフ、ドワーフなどの亜人の味方をするものなのでですが。この作品の主人公はダンジョンにやってきた人間を善悪とわず、殺している。

 

 冒険者の視点での話はつい彼らに感情移入してしまうくらい真に迫ったものがあります。

 

 だというのに、主人公視点での話は全体的に明るい。スマホの放置ゲーの面白さを描いているんですね。

 

 そう考えると、ヒロインを妖精にした点も上手い。人間たちに一番遠い人外をヒロインにしたことで、彼らを殺すことに罪悪感を感じないことに疑問が湧かない。

 

 二巻も読みたいです。

 

 

お前みたいなヒロインがいてたまるか!について

 さて、今回紹介する作品はお前みたいなヒロインがいてたまるか!です。

 

 あらすじ

 4歳のある日、ここがスタート前の乙女ゲームの世界だと知った椿。彼女は、全てのルートで自ら命を絶つライバル令嬢に転生していた。幸いゲームの始まりである母親の死が訪れる前だったため、すぐに救出作戦を開始。一方でヒロイン・美緒とイトコの恭介が恋に落ちるルートが椿にとって一番避けたい終焉ルート。美緒の性格が悪そうなのも相まって椿は生き残りをかけ、まだ見ぬイトコを守ると誓うけれど、なんと美緒も前世の記憶持ちで――!? 波乱万丈の人生を送るライバル令嬢に転生した主人公の、フラグ回避ストーリー第1弾ここに登場!

 

 またもや悪役令嬢もの、舞台は現代。しかも今回は乙女ゲームの本来のヒロインも転生者。しかもそのヒロインの性格はかなり悪い。だから悪役令嬢として全力で邪魔してやろうってきになれる。

 

 未来を知ってるからこそ、悪役令嬢として不幸になる芽を早めに潰して、一巻と二巻は乙女ゲームのキャラとの交流、日常が主となっていた。これからどうなるか期待です。

 

 

張り合わずにおとなしく人形を作ることにしましたについて

 さて、今回紹介する作品は、「張り合わずにおとなしく人形を作ることにしました」。

 

あらすじ

「私が乙女ゲームのライバルキャラ!?」  9歳のある日、前世の記憶を取り戻したアルティリア。彼女は魔法学院を舞台とした乙女ゲーム、『ルーンナイトコンチェルト』の噛ませ犬の公爵令嬢に転生していた。原作通りにいけば、待っているのは過酷な運命。 ……って、せっかくの第二の人生、悲劇のヒロインなんてお断りだ! だったら、原作から外れてしまえばいい。“自分にしかできないこと”より“みんなができること”が重視されるこの世界。ルート回避のために、世界でアルティリアだけが持つ力――布と糸でできたモノに命を与える力――人形魔法を極めてみせます!!

 

  またしても悪役令嬢もの、3冊目です。今度の転生はお人形さんをあやつる貴族の娘。悪役令嬢ものの魅力といえば、やはり大事なのは破滅の運命からどう逃れるかっです。

 

 今まで紹介した作品は、魔法学園に入学すれば、本来のヒロインと衝突するため、入学するまでにどういった準備をするかってのが話の肝になっていたんですけどね。

 

 なんと主人公はこの学園自体に行かないことを選ぶんですね。でっ、乙女ゲーでは、特に秀でていなかった人形魔法を幼い頃から鍛えることで留学することを選ぶ。

 

 この人形魔法がいいんですよね。騎士とか、サボテンとかを模した可愛いお人形さんが主人公の魔法で意志を持って動いてるんですけどね。これがいいんですよね。中二病的なカッコイイ戦闘シーンがありながらも、少女漫画系ファンタジーのようなかわいい雰囲気が作品全体にある。

 

  恋愛もあるけども、戦闘、異能バトルの要素が強い作品でもあるので、そっちが好きな人にもオススメです。 

 

 

 

ネタバレ注意! キリトはVR男子⁉︎ 劇場版ソードアートオンラインについて

 劇場版ソードアートオンライン  オーディナルスケールを観てきました。

 

 

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まずはソードアートオンラインシリーズについて説明します。

 

ソードアートオンラインとは、

 装着することで仮想現実空間にダイヴできる機器ナーヴギアを介して行われるVRMMORPG、通称SAO。そこにサービス開始初日にログインしていたプレイヤー、合計1万人がゲームの開発者、茅場晶彦によって閉じ込められる。

 

 SAOは、ナーヴギアを外す、あるいはゲーム内で死ぬと現実世界でもプレイヤーは死んでしまう。生きてSAOを脱出するには最下層100層のボスを倒さなくてはいけない。

 

 主人公の桐ヶ谷和人、キリトは当初孤高の凄腕ソロプレイヤーとして数多の敵を屠るも、その過程でたくさんのヒロイン、男性キャラと交流していくうちに心を開くようになり。たくさんいるヒロインのうちの一人、結城明日菜、アスナとSAO内で結婚し、彼女と現実世界で幸せになるために、ラスボス撃破によるSAOからの脱出を目指す。しかし、その途中、キリトは黒幕の存在に気づき、彼との対決に勝つことで1万人のプレイヤーは現実世界に帰還し、キリトはアスナとめでたく恋人どうしになれたのでした。

 

いろいろ端折っちゃてるけど、この辺が映画を観る上で重要なこれまでの話です。

 

 さらに、ソードアートオンラインの魅力はですね。このSAO事件が序章に過ぎないってことですね。キリトはSAOから現実世界に帰ってくるわけなんだけども。その後、彼の前に立ちはだかる敵はSAO事件で黒幕だった茅場晶彦を模倣する者。SAOの時の恨みを晴らそうとしたり、その世界での万能感が忘れられない者。つまり、原点にして頂点。最初の事件と最初の敵が一番強くて、あとのはそれの派生でありながら、一つ一つが魅力的なストーリーになっている。ジョジョを想起させるような世界観の広げかたをしている。だからこそ、いまだに人気で世界観が広がり続けてるんですね。

 

それを踏まえた上で、ソードアートオンラインを語る上で重要なのが、この作品は俺TUEE小説であるようにみえるが、じつは俺強かったんだぜ小説。つまり、青春時代の万能感に想いを馳せるノスタルジーを描いた作品であるということだ。

 

ソードアートオンラインの悪役たちはSAO事件を土台に生まれている。彼らはあの時の感動を再現する模倣するために生まれてきていて、それこそが主人公の影として悪役、シャドウとなっている。

 

悪役は主人公のもう一つのありえた未来、シャドウであるっていうベタでこの物語を読み解くとするなら、キリトくんはあの頃の自分ってやつにいまだに依存してるんですよ。

 

 今回、まず序盤でオーグマーっていう現実世界に仮想のデータを付与するARデバイスが流行ってるって話をした上で、ヒロインたちはそのARデバイスをいつもつけてて、キャッキャッとゲームすんだけど、主人公のキリトは不満げで、極力ARデバイスをつけないようにしてますよね。

 

 あれ、ぱっとみ、ガッチャマンクラウズのハジメちゃんみたいにさ。周囲の変化の異常性に主人公だけは気づいてるって感じにも見えんだけどさ。

 

ぶっちゃけさ、俺らからしたらさ。現実を盛ることに楽しみを見いだすインスタ女子と名前からプロフィールまで架空のものにするツィッター男子の構図にみえてさ。ARを不審に思うキリトの気持ちがさ、俺らにもちょっとわかるよね。

 

これ見てるとさ。もしかしたら、ARとVRもこうやって男女にわかれて発展していくんじゃないかと思えるのが面白いんですよね。

 

んで、キリトはやっぱVRがいいっていうんだけどさ。みんなはどんどんARのほうに行ってしまい。既存のVRゲームの利用者は減ってしまう。しかし、キリトはそれでもARでなくあくまでVRのほうが好き。だからこそ、アスナも途中でARのイベント戦にキリトを誘わずに一人で参加してるんですね。この辺からさ、二人の関係の不穏さみたいなのを暗に示してんだとおもうんだよね。

 

 キリトはVRに心が向き、アスナはARに心が向いている。今回の事件はその時に起きるってのが悪意たっぷりなんですよ。アスナはARのイベント戦であるボスモンスターと戦う。そいつはなんとSAOに存在していたボスモンスターと同じなんですよね。ある日、彼女はキリトを誘わずに一人でイベント戦に参加したところ、そのボスモンスターにやられてしまう。するとなんということか、彼女はSAOの時の記憶をなくしてしまうんですよね。

 

 この後の僕にとってすごい好きなシーンがさ。キリトとの病院の待合室での会話。キリトがさんざんSAOの時の思い出の場所に連れ回した後でさ。アスナちゃんは思い出せない自分にヘコんじゃってるんだよね。そんな彼女に対して、彼はきっと思い出せるよって言うとさ。彼女は突然、青ざめた表情で右手を上げ、まるで人差し指で空中をなぞるようなしぐさをした後で倒れてしまう。

 

 キリトには最後まで彼女がなにをしようとしたのかまったくわからないんだけどさ。僕らにはわかるよね。彼女は、ネットに繋いでメールを送ろうとした。オーグマーなんてつけてないのに。

 

  じつは彼女は序盤で同じしぐさをしてるんですよね。目の前にキリトがいるのに、彼に送るプレゼントのことを秘密で相談するために。

 いわゆるデート中にスマホをいじるってやつなのに。この映画だと可愛くみえるから不思議だよね。

 

 あの時の彼女は、キリトにきっと思い出せるよっなんて言って欲しくなかったんですよね。思い出はこれからつくればいいとか。過去よりも今が大事とか。そういう言葉を言ってほしかった。そもそもSAOの時の記憶がないだけで、恋人になってからの記憶はあるんですよ。だからキリトの言葉にアスナの指が思わず動いた。無神経な彼氏の言葉よりも別の遠い友達と繋がりたかった。だって彼は今のアスナなんてみてないもの。過去の俺TUEEの延長線上のアスナをみてるんだもの。このまま思い出せなければ彼は自分を捨てるのではないかそのくらいの不安が頭をよぎったんじゃないかな。

 

 その後、ヒロインの日記を勝手にみることでアスナの心の内を知ったキリトがハッピーエンドにむかっていつものお得意の俺TUEEでゲームを攻略するわけだけどさ。あの日記を彼氏に見られたアスナちゃんはまるで突然ロボットになっちゃったようにみえたよ。彼氏に日記見られたのに、キリトくんならいいとか、お前聖人かよっての。

 

 アスナちゃんは一人の女の子のようにしっかり心の動きを繊細に描かれるときもあれば、ある一定のラインを超えそうになった時にいかにもアニメキャラですって言わんばかりに優しくなるんだよね。

 

 つまり、アスナちゃんにはさ、こんな子いたらいいなって信じるための心の屈折と都合のいい可愛い女の子のプログラムが組み込まれている。でっ、そんなもの本来は両立するわけないんだから、ときどきバグかなって思うくらいチグハグな時がある。

 

 これを踏まえた上で、主人公のシャドウたる悪役の目的を考えると笑えてくる。彼らの願いはSAOで失ってしまった一人の少女を生き返らせること。これこそがキリトの闇なんだよ。彼はSAOの時に手に入れたアスナが好きなんだ。だからSAOの時の記憶をなくしたって時に彼は必死で彼女の記憶を取り戻そうとする。

 

 敵役の言うように、死にさえしなければ一人の女の子を生き返らせるためにSAOの時の記憶くらい犠牲にしたっていいだろうにね。

 

 ラストは結局VR世界で過去のキャラが全員集合して戦うまるで仮面ライダー大戦のようなラスト。つまり、二人の未来の不安を提示するだけ提示してぶん投げたわけだ。

 果たして、このまま二人の時計の針が進んだとして彼らはこのままSAOの時のように結婚できるのだろうか。俺には二人の未来が、旦那さんは青春時代の栄光に思い出に胸を馳せ、奥さんはこの人と一緒でいいのかと将来に不安をかんじるなんてことになってしまうんじゃないかと考えてしまう。

 

 なんてたってさ、彼女は明日に向かって芽ぶく菜と書いてアスナと呼び、彼は俺らのような学生時代が華と考える典型的な日本人、和の人と書いて和人なんだぜ。二人がいい夫婦になりたいと考えるのならばもうすこしアスナちゃんはキリトにキレたほうがいいと思うんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤンデレ系乙女ゲーの世界に転生してしまったようですについて

 さて、今回紹介する作品はまたしても悪役令嬢転生もの、ヤンデレ系乙女ゲーの世界に転生してしまったようです。 

 

あらすじ

「攻略対象全員ヤンデレの乙女ゲーム世界に転生!? よりにもよって!?」婚約者の絵姿を目にした瞬間、私――リコリスはとんでもない記憶を取り戻してしまった。どうやら私は、記憶を持ったまま転生してしまったらしい。それも『ヤンデレ系乙女ゲー』の世界に! この記憶が確かなら、ゲームの中での『リコリス』もヤンデレだ。ヒロインをいじめまくり、周囲を傷つけ、最後は婚約者に刺されて……ってそんな人生お断り! 私は絶対、幸せになりたい! 決意を固めた私の前に、将来のヤンデレ?婚約者・ヴォルフが現れ……!? ネットで大人気! ヤンデレ系乙女ゲー・ラブミステリーがいよいよ登場!

 

 この話を一言で言うならば「ヤンデレは忘れた頃にやってくる」ですね。最初は、あれいうほどヤンデレ要素ないんじゃないかって思うんですよ。婚約者のヴォルフはツンの入った俺様っぽいってだけで、リコリスとはじめて会った時は完全に闇がないですからね。

 

 だから途中までは王道の悪役令嬢ものなんですよね。婚約者としてヴォルフと出会うと、周囲に心を開かなかった彼はヒロインにだけは心を開き、彼女の内面に惹かれる。しかし、ヒロインは悪役令嬢としてヴォルフが他の女の子に取られる結末を知っているから。彼のみえみえの好意に気づかない。

 

 悪役令嬢ってのが、いい感じに障害になってくれるからみててニヤニヤするんだよね。で、そんな日常が、ふつうの悪役令嬢ものが続くんじゃないかっておもうときに主人公たちに絶望的な障害、ヤンデレがやってくる。

 

 これがうまいんですよ。最終巻の理不尽だけど、しっかりと主人公のこれまでの行動を踏まえてのヤンデレはギョッとしましたよ。

 

 四巻で完結してる作品なので、短くて読みやすい。悪役令嬢もので最初に読むのにオススメですよ。

 

 

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまったについて

 

 さて、今回紹介する作品はこちら、『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった』。

 

あらすじ

頭をぶつけて前世の記憶を取り戻したら、公爵令嬢に生まれ変わっていた私。え、待って!ここって前世でプレイした乙女ゲームの世界じゃない?しかも、私、ヒロインの邪魔をする悪役令嬢カタリナなんですけど!?結末は国外追放か死亡の二択のみ!?破滅エンドを回避しようと、まずは王子様との円満婚約解消をめざすことにしたけれど……。悪役令嬢、美形だらけの逆ハーレムルートに突入する!?恋愛フラグ立てまくりの破滅回避ラブコメディ★

 

 タイトルでわかるとおり、乙女ゲームの悪役令嬢に転生する主人公、カタリナが、このままだと本来の主人公が男性キャラとくっつく時に破滅しちゃうからそれを阻止するために必死で生きようってはなしです。

 

 悪役令嬢転生ものの面白いところが、ゲームだと破滅することになるっていう結末を知ったうえで、その運命を回避しなくてはいけないって目的がはっきりしてるとこですね。

 

  さらにいいのが、主人公のカタリナのキャラですよね。彼女は破滅するのを避けるために没落しても働けるように農業を勉強したり、剣と魔法を幼い頃から修行するわけなんですけど。これでチートになるかと思いきや。農業以外てんでダメ。しかも、その農業は趣味になるんですね。

 

 でもですね、それがまわりまわって周囲のキャラとの関係につながり最終的に惚れられる。コメディたっぷりのカタリナの視点と惚れるキャラの視点を交互にやって。すごい勢いで一巻で5人のキャラがカタリナに落とされるんですね。

 

 悪役令嬢もののなかで、一番コメディ色がつよいのでオススメです。

 

 

 

 

 

 

 

第一回神島竜の創作紹介 はじめて書いた処女作の話

 さて、そろそろ自作小説の宣伝もしちゃいます。

 

 その名も神島竜の創作紹介。

 第一回はpixivに投稿していた処女作。

 『who are the hero』です。

 

「Who are the hero 第1話 黒かばんと男」/「神島竜@小説書いてます」の小説 [pixiv]

 

 中学の時に書きなぐった短い話を30万文字の長編にふくらました話です。

 その短い内容はこんな話でした。

 

 火星へと向かう宇宙船の中で少年だけが青ざめた顔でいた。

 原因は少年お隣に座っている男の存在にある。

 

 一人の少年が宇宙船に乗る前に吐き気を催し、トイレにかけこむ。すると、そこにはチャック口が牙のように生えた黒いカバンがトイレで見知らぬ男性を捕食していた。化け物は少年に気付くと、次は少年に襲い掛かる。化け物に食べられてしまうっと死を覚悟するが、化け物はトイレの中に入ってきたもう一人の男に呼びかけると、少年のことなど忘れたかのようにトイレから出ていった。

 

 少年は何が起きたかわからないとでも言いたげに、トイレから出ると、両親の前で吐いてしまい、自分は火星に行きたくないと告げる。だが父親は反対する。火星に行けば、それだけで国からお金がもらえるし、いい仕事にもつける。少年たちにもっといい暮らしをさせてやることができる。そう言って、彼のお父さんは無理やり少年を宇宙船に乗せて、火星へと旅立つのである。宇宙船に乗ると、隣には化け物を従えた男がいて、その膝の上には先ほど少年を襲った黒いカバンが乗っかっていた。

 

 少年は不安になる、黒いカバンは今にも少年を襲うかもしれない。少年の家族を襲うかもしれない。だけど、宇宙では逃げ場がない。どうしよう、どうしよう、とグルグルと悩み続けると。

 

「ご搭乗いただき誠にありがとうございました」

 

 と、機内アナウンスが流れる。そう、少年が考えているあいだに地球を離陸した宇宙船は火星に着陸したのだ。搭乗者たちは続々と荷物を棚からおろして火星へと降り立つ。少年の隣に座っていた男も黒いカバンをもって火星へと降り立った。

 

 これが高校2年生から、pixivで投稿をはじめたwho are the heroの第1話となりました。今、読み返してもちょいちょい頭の悪いところがある作品です。冒頭から出てくる宇宙船は完全に空港のジェット機ですからね。

 

 1話で両親との不仲、謎の怪物に襲われても、そのことを親には伝えない、大人を信用しない少年。彼は精神と身体のバランスが悪く、吐き気を催してトイレに駆け込んだ。このへんが僕にとって重要だったんですね。

 

 この時は、少年と出会ってしまった黒いカバンがwho are the hero内であそこまで活躍することになると思わなかったな。

 

 火星に向かった少年に襲い掛かる騒動を描いた1部の内容はまさに異能力バトルロワイヤルでした。人を捕食する黒いカバンを持ち歩く謎の男、影沼隼人。なんと彼のカバンの中には大量のクモが出てくる。そして、そのクモに噛まれると火星の住民たちは次々と怪物へと姿を変えた。

 

 クモと言えば、何かと言えばスパイダーマンだ。中学の時、ちょうどスパイダーマン1が金曜ロードショーで流れていた。

 

 怪物に変わった人々は貧富の差、互いの利権、内に秘めた欲望を爆発させて、次々と暴走していく。その中で、影沼隼人のそばにいた黒いカバンも強くなるために火星で奇形で生まれた天才児、善導寺新を捕食し、彼にそそのかされるがままにほかの無機物生命体も捕食しはじめる。

 

 このあたりの展開はかなり間を開けて高校の時に書き始めていた。火星年代記を読んでいたのを覚えている。仮面ライダーoooもはじまっていたな。

 

 少年も同じく怪物としての力を会得する。その力は空気でできた龍を吐き出し、使役させる力。その名はエアーマン。

 

 もちろん、元ネタはニコニコ動画で有名なエアーマンが倒せないのエアーマンだ。後、伊坂幸太郎の漫画版、『魔王』に出てくる悪役の特殊能力の影響もある。

 

 このように話の中にちょいちょいなにかしらのメディアをそのまま流用したようなものを寄せ集めて作られている。あの頃は他人の作品をパクりながら書いているそんな自分に嫌気がさしていた。だからこそ、作品の途中で九条剣という火星で働く技術者が現れる。

 

 彼の特技は物の分解とコピー。一度見て触れた物ならなんでも分解するし、そのへんの部品を使って一度触れたものと同じものをつくることができる。英雄願望が強く、自分には才能があって、もっとその才能を認めるべきだと考えている。クモに噛まれたことで鋼鉄でできた小鳥のような姿に変わった。完全に小説を書いている自分が感情移入するためのキャラなんだな。

 

 そんな彼は自分が英雄になるために少年とチャック・ザ・ジッパーにも襲い掛かったりしている。火星の重力装置に細工して、火星を揺るがす事件を起こそうともした。そんな彼の鼻っ柱が物語の終盤でおられることになる。それが思念生命体だ。

 

 彼らは少年たちと影沼隼人との戦いが終わると思ったその直前に現れる。なんと彼らは宇宙人でずっと人類の頭の中に取り憑いて人類の技術の発展に貢献してきたそうだ。影沼隼人もその技術の発展をのばすための脅威をつくるために操られていたのだ。

 

 ちなみに最近の作品でもこれのR-18版を出していたりする。

 

 彼らは人類の殲滅をはじめる。これまで伸ばしてきた技術を自分たちだけのものにするためにだ。彼らはそれを技術を貸してきた見返りだと言っている。

 

 しかも、彼らの見た目は完全に○ッキー、○面ライダー、○トラマンなんですね。つまり彼らの技術を貸した分を徴収するってのは著作権のわけなんだな。

 

 そんな彼らの一人、○面ライダーの姿をした思念生命体。ミスターマスクは九条剣を踏みつぶしてこう言う。お前のような才能、世界にいくらでもいる。実際その通りで、彼の触れたものを分解して、さらに同じ物を組み立てる能力を当たり前にもつ新人類ってキャラもちょいちょい出てきてるんですよね。

 

 そんな感じでさ。話したらキリがないくらい。この作品には中学の時の自分ってのがたくさん詰まっている。だから今でもすきだったりするんだよな。また、続きかきたいな。

 

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自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨うについて

さて、今回紹介する作品は『自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う』です。

 

あらすじ

交通事故に巻き込まれた「俺」は、目が覚めると見知らぬ湖の前に立っていた。
体は動かず、声も出せず、訳もわからぬ状況に混乱し叫び出すと予想だにしない言葉が――!?
「あたりがでたら もういっぽん」
ど、どうやら俺は自動販売機になってしまったらしい……!
選択出来る行動は自動販売機の機能"のみ"。自力で動くこともできず、会話もまともにできない
状況で異世界のダンジョンを生き抜く事は出来るのか!?
小説投稿サイト「小説家になろう」で話題沸騰!
ダンジョンの奥深くで出会った少女と自販機を描く、新感覚迷宮ファンタジー開幕!!

 

昨日、剣が転生した作品を紹介しましたが。次は自動販売機です。石、ブラックバス、盾、剣といろんな異世界転生がありましたが、まさかの自動販売機ですよ。どうやって戦うんだよって話じゃないんですが。これがおもしろいんですよ。

 

自動販売機の主人公は、もちろん自販機の中にある商品を異世界で売るんですけどね。売るときに自分の身体にいれてもらったお金はそのまま自分のポイントになるんです。いわゆるスキルポイントって奴ですね。そのポイントを使って自分のスキルをふやしたり、商品のラインナップを変えたりできるんですよ。

 

このふやせるスキルを使ってですね。敵と戦うスキルチートものおでもあるんですけどね。それだけじゃないんですよ。

 

この自販機ですね。ドリンク以外の自販機にもなれるんですよ。

 

たとえば、カップラーメンだったり、からあげとかの食べ物だったり、温泉の自動販売機とか。

 

それで新しい自動販売機にフォルムチェンジするたびに自動販売機の豆知識が語られている。ここスゴイですよ。個人的にはヒロインの絵もいいけど。作中に登場する自販機の挿絵とかもつけてほしいと思ったくらい。作品の魅力になってんですね。

 

あとですね。

 

食べ物系自販機のネタのおかげでグルメの要素も入っている大きいですね。しかも、自販機だからわりかし探せば見つかるし、安い。僕、これを初めて読んだとき、その日のうちにスーパー銭湯のとこの自販機まで行って唐揚げ買っちゃいましたからね。

 

もちろん、ヒロインのラッミスも可愛い。元気いっぱいで、純真な感じがいいですね。主人公を慕っているとこも、自販機が相手だから見てほほえましいし。

 

豆知識をこまめに入れて、グルメ要素もはいっている、ヒロインも可愛いいとなろうでヒットさせる要素を詰め込みつつも自動販売機という新しい要素をいれているとこもいい。ぶっちゃけ一番アニメ化してほしい作品です。

 

続刊もどんどん出てほしい。ぜひ読んでください。

 

転生したら剣でしたについて

 本屋のネット小説のコーナーを覗いたら、メインとして大きくソードアートオンラインと魔法科高校の劣等生が積まれてました。この二作品は三年前からずっと人気ですね。

 

 どちらも学生が俺TUEEをする作品ですね。あと、妹がいる。主人公には隠された圧倒的な才能が……あげようと思えばキリがないんですが。一番は世界観ですかね。読者が想像を共有できるくらい念密につくられた世界。

 

 最近、流行ってるけものフレンズ。マッドマックス。ズートピア。どれも僕らが行ってみたい。生きてみたいとおもいをはせてしまいそうな非現実がある。

 

 このすばを見る限り、異世界転生は3年前から流行ってるって話はしましたが。きっと僕らはここではないどこかにずっと行きたいとおもってるんでしょうね。

 

さて、今回紹介する作品はこちら、『転生したら剣でした』。

 

あらすじ

気がつくと異世界に転生していた。普通の人間としてではなく、剣として。
さらに周りを見渡せば、魔物が闊歩する危険な草原地帯。身の危険を感じた主人公は自分の体を浮かせる能力を駆使して魔物を狩っていく。
そんな折、休憩として地面に刺さった瞬間、能力が発動しなくなり動かなくなってしまう。
途方に暮れる主人公の前に、奴隷姿の猫耳少女が突如として現れるのだが……。

 

 またしても異世界転生ものです。しかも今回は剣。無機物転生ってのもジャンルとしてあるんですよ。剣だけでなく、畑、石、温泉なんかもあるんですよ。

 

 この作品の要はなんといっても、スキル吸収ですね。主人公の剣はなんと倒した魔物のスキルを吸収して自分のものにすることができます。いわゆるスキルチートですね。スキルチートの魅力は蜘蛛ですがやああ勇者でも語ったんですが。ここでの面白さは。倒すのに苦労したあいつの力が俺のものっていう達成感ですね。強敵が現れれば現れるほど、その後、主人公がその能力をどう使うのか。どう強くなるのか、それがワクワクするんですよね。

 

 それにさ、剣の装備者として出てくる。獣人のネコミミの少女、フランが可愛いの。無表情ロリで食いしん坊。彼女の目標は進化すること。なんでも、この世界の獣人は進化するらしいんですよ。でっ、彼女は黒猫族って種族らしいんですけどね。この種族で進化した者はだれもいない。だから彼女は黒猫族ではじめて進化した者になるのが目標らしいんですよ。

 

 これキャラづけがいいんですよね。復讐とか。金持ちになるじゃなくて。進化っていう、いわゆる自身の成長が目的になってるてのが。これにより、彼女は剣である主人公をただ使うだけでなく、主人公を師匠と呼んで彼に頼りすぎずに努力する。それが健気で保護欲を駆り立てるんですよ。

 

応援したくなるキャラなんですね。

 

そんな彼女を剣としての立場で見守る。スキルチートでありながら、少女の成長譚になってるんですよね。

 

続きをこれからも読みたいです。

 

 

 

 

算数で読み解く異世界魔法について

 

 さて、今日紹介するのはこちら、『算数で読み解く異世界魔法』

 

あらすじ

落ちこぼれフリーターのタカハが転生したのは魔法の詠唱に数字を用いる世界だった! 彼は転生特典『対訳』の力で全ての魔法言語を瞬時に理解し、持ち前の数学知識を駆使した大魔法使いを目指す。
──が、まさかの大問題は転生先の家族にあった!
頑固な父親、のんびり屋の姉と築く生活は、喧嘩ばかりで修行もままならない。
おまけに、タカハの前には前世からの因縁を持った宿敵まで出現。異世界では最強の魔法使いとして成り上がるはずだったのに……。

家族の絆と自身の誇りを胸に、今、タカハのかつてない戦いが始まる!
完璧な計算を越えた想いが絆を繋ぐスイートホーム・ファンタジー!

 

 算数で読み解くってタイトルがいいですよね。なんだこれ?っておもうじゃないですか。でっ、この設定が面白いんですよ。この世界では、17よりさきの数が言語として存在しないらしい。なぜなら、魔法を発動させるための限界が17までだから。

 たとえばですね、作中の呪文ってのがこの呪文自体は12マナ、この操作を命令したらプラス1マナ、合計で対価として10マナ使いますって意味でそれが算数なんですよ。

 で文章にするとこうなる。

 

「水--十二の法--一つーー今--眼前に ゆえに対価は10」

 

 魔法の発想としては目新しいし、ほかの魔法ものと比べて呪文のつくり方が理にかなっているんですよね。しかもかっこいい。

 しかも、この縛りがあるから主人公の成長や戦い方がなんでもアリってかんじにならず。ほんとに努力をしたうえで得た勝利って感じで読めるのがいいですね。

 

 俺がすごいと思うのが、この話読んでてちょっとストレスがかかるんですよ。このストレスってのがですね。主人公にむかついてイライラするとか。そういう悪い意味じゃないんですよ。この物語が最終的に爽快感のある展開に持っていくために、ラストの開放を印象付けるための序盤の抑圧の描き方が上手いんです。

 

 主人公は両親に恵まれていないフリーターで、周囲の人間を数字で当てはめて評価する。そんな彼がある日、自分がずっと欲していた大きな才能を手に入れて転生する。だけど、転生したんだけども。師匠からは9歳まで魔法の修行を禁止されている。しかも主人公もいい感じに性格が悪くてですね。ヒロインにも冷たく接している。

 

 見てて、イライラするんですよ。するんですけど、この作品の端々にある世界観ってのがしっかりつくりこまれているのがわかるからですね。これが後々の主人公の成長によって得られるカタルシスの前フリだってのがわかるんですよ。

 

 理不尽なこといくつも起きるんですけど。その理不尽なできことの中で主人公が気づくのが。才能よりもそれを伸ばすための努力が大事で。転生前に自分がもっていなかった大事な家族というのがじつは自分の周りにいるってのが主人公が気づいていき、成長していき、最終的にライバルとの戦いで開放するカタルシスってのが面白いんですよね。

 

 続きが読みたい作品です。

 

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ジャパリパークはユートピアか? けものフレンズについて

朝、ふとスマホを見る。

すると、みなが口々に言うのであった。

「すごーい」「たのしー」

みながみな、同じような言葉を使い出す。何事かと思うと。彼らはこちらを向いて、こういうのであった。

 

 

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「そっか、キミはまだけものフレンズをみていないフレンズなんだね」

 ちょっとしたホラーですよ。だがこれは現実にあることである。

さて、僕もついこの前にけものフレンズをみましたよ。

すごいアニメですよね。ある人はこれは重厚なSFだと語り、ある人はたのしー!とすごーい!しか言えなくなる。

 ぶっちゃけ、僕もこれを見てから数日間はけものフレンズのことしか考えられなくなってですね。ブログがかけるような状態じゃなかったですよ。今回はみんなのすごーい、たのしーなところを共有した上で、俺なりにこの世界のこういうとこがうらやましいよなって話をします。

 

けものフレンズってなに?

とつじょあらわれたサンドスターによって、動物たちは次々とフレンズという人間の女の子に姿を変え、大昔に人間が作っていた複合施設ジャパリパークでにぎやかに暮らしていた。そのジャパリパークのサバンナ地方でかりごっこを楽しむサーバルちゃんはある日、一人の少年と出会う。彼は記憶を失っていた。そのため、サーバルちゃんは彼をかばんちゃんと名づけ、彼が何のフレンズかを調べるために図書館にむかって旅立つのであった。

 

基本、自分が誰かわからない。たぶん人間であるであろうかばんちゃんが自分が何者なのかを知るためにジャパリパークにある図書館を目指すって話です。でっ、その途中でたくさんのフレンズに出会うっと。

 

この作品の魅力は1話見ただけじゃわからない。というか、あまりにも作風が挑戦的過ぎて、楽しみ方がさいしょはわからないんですよ。でも、なぜか最後まで見れちゃって、2話目だと作品内の不穏さに興味が引かれ、3話目でキャラの可愛さにやられ、4話目で作品を楽しむための頭のピントが合うんだけどさ。合わせすぎると、頭がおかしくなるんですよ。

 

表向きの作風がNHKの教育番組。最初は女の子にケモノの耳が乗っかってるだけに見えるんですけどね。人間と比べると、サーバルちゃんは走ったら息が整うまで時間がかかるとか。アルパカちゃんは不機嫌になるとツバを吐くとか。ちゃんと動物の細かいしぐさを擬人化に反映させてるんですね。

 

なさけないはなしだけどさ。俺、人間が動物に比べると持久力があって、長い距離を走れるってはじめて知ったよ。しかも、そういうのわざわざ説明しないんですよね。

 

で、教育テレビ風でありながらも世界観はかなりブラック。ジャパリパークってのがいったいどういうとこだったのかって説明はいまんとこないんだけどさ。みててわかるのが、むかしに人類が作ったであろう施設で。今はもうかばんちゃん以外の人類がジャパリパークにいなさそう。で、セルリアンという生命体がいて、フレンズを食うらしい。寂れた施設に女の子がキャッキャッと楽しそうにしてるとこ見ると、ちょっと悲しくなりますね。

 

そして、サーバルちゃんが可愛い。好奇心が旺盛で、どんなことにも前向きに取り組む。人の欠点には「キミは○○が苦手なフレンズだね」といって、その人、動物それぞれの長所に目を向け素直に「すごーい」と褒める。

 

今、TLでさ僕の知り合いもみんなけものフレンズに感化されているんだけどさ。そういうとこなんだよな。

 

僕らはさ、生まれてすぐ幼稚園に入って、小学校に入学してさ。そこでやることといったらさ。勉強がどれだけできるか。スポーツがどれだけできるか、容姿は整ってるかのこの三つだけを比べられて。それでクラスの立ち位置が決まって。それが人生のすべてだと悟った気でいたまま。大学に来て、社会に出てしまう。

 

これが学生時代ののろいってヤツでさ。これのせいでダメになっちゃうマジメな子ってのがさ。僕らの中にいると思うんだよね。

 

そんな呪いをかけられた僕らの心の傷にけものフレンズは染みこむんだよな。かばんちゃんはさ、記憶喪失だからさ、自分は人間じゃなく、なにかしらの動物のフレンズだとおもってるからさ。崖も上れないし、空も飛べない自分はダメな動物なんだっておもっちゃうんだよ。見てる俺らはそんなことないって言いたいんだけどさ。動物が擬人化している世界ではさ言葉を使えることも二足歩行できることもたいした意味がないからさ、たしかに特技がないように見えちゃうんだよ。でも、そんな彼にさ。キミは長い距離を歩いてもすぐ息が整うんだね。スゴーイ! ってさ。俺らが普段気にしないような人類の長所にすぐ気づいちゃうんだよね。でさ、いろんなフレンズが出るんだけどさ。2話や5話ではさ。かばんちゃんの考えをもとにみんながそれぞれの長所を生かしてさ橋を作ったり、家を作ったりするんだよね。それがほんとにほっこりするんだよね。

 

そんな中で俺が見ててスゴイなぁっておもうのがさ。ジャパリパーク全体にあるお互いを助け合う社会があるとこなんだよな。

 

2話でさ。ジャガーが出てくるんだけどさ。そいつなにしてるかってぇとさ。川の中でさいかだみたいなのを引っ張っててさ。なにしているかというとさ。橋がなくなって困っているみんなのためにさ、川をわたれないフレンズを運んであげてんだよね。4話見た限りではさ。フレンズには貨幣の概念がないんだよね。3話でも、カフェをやっているアルパカでるけどさ。ここに休憩所があったらいいかもなっていう優しい気持ちがあってさ。どうやらジャパリパーク内の福祉ってのがフレンズたちの趣味の延長線上、善意みたいのでできているってとこがいいよね。

 

でっ、これがさ。そういうキャラだから作風だからだけじゃなくてさ。そういう子たちが出てくるための社会の仕組みがあるからだとおもうんだよ。

 

たとえばさ、ジャパリマンってのがあるんだけどさ。フレンズたちはその饅頭を食料源にしているからさ。肉食と草食との捕食関係がないんだよ。んでさ、みんなが当たり前にそれを食べているということはさ。どうやら、ジャパリパーク内ではだれもが一定量のジャパリマンが手に入れられるらしい。

 

これさ、ベーシックインカムになってんじゃないかな。

 

 ベーシックインカムってのさ。ホリエモンさんや岡田斗司夫さんなどの文化人の方が提唱している社会保障の考え方なんだけどさ。保険や学校などのあらゆる社会保障をいったんゼロにする代わりに、一人ひとりが生きるための最低限度の金額を払うって考えたらしいんだよ。

 

 サーバルちゃんのさ。苦手なとこよりも得意なとこを見つけようって姿勢とかさ。アルパカちゃんやジャガーちゃんのみんなが喜ぶことをしたいって考えはさ。生きるための食がさ。ある程度全体にいきわたっていて余裕がある状態だからこそできているじゃないかとおもうんだよ。

 

3話でさ。アルパカちゃんは図書館で紅茶の入れ方を勉強したって言ってんだけどさ。これってさ、いわゆるネットがあればなんでも勉強できるって状態なんだとおもうんだよ。もちろん、偽の情報が多くて、今は難しいんだけどさ。グーグルとかがさ。人工知能のディープラーニングってのを発達させて、目的の情報にたどり着くための整合性、あるいは正答率? ってのを挙げようとしてるしさ。いつか頭がいい人はネットだけで勉強できるってのはありえない話じゃない。

 

安定した食料があって、誰もが学べる機会と権利がある。この状態で作られている相互の助け合いの社会。これいわゆる評価経済社会なんですよね。

 

評価経済社会ってのは、貨幣よりも周囲の評価が生きるうえで必要になるから。その評価を中心に形成されるであろう新しい社会のことで、ガイナックスの元社長さんの岡田斗司夫さんがそのことで本を出しています。

 

彼女たちのやさしさの根幹ってのがさ。動物だからってのもあるだろうけどさ。無駄なものがなくなった中で、人類の残したデータベースと大量に手に入る食料ってのも起因しているとおもうんだよな。